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登山・ボクシングと「3足のわらじ」履く医師の矜持 中東やアフリカの紛争地で外科医として活動

東洋経済オンライン / 2024年9月3日 16時0分

だが、天は強制引退となったプロボクサーの味方をした。2023年、JBCがルールを改正して37歳定年制を撤廃、ライセンスは格下げになるものの、強制引退した選手も再度プロとして試合ができるようになったのだ。

以来、池田さんの戦績は5勝3敗1分。池田さんは言う。「最後は勝利で終わりたい。それまで、ボクシングの挑戦をあきらめないつもりです」。

7大陸の最高峰の登頂を目指す

登山を始めたのは、後期研修最後の年だ。まとまった休みがとれたので、アフリカのキリマンジャロ(5895m)登山を試みた。理由は「世界7大陸の最高峰の1つでありながら、赤道付近に位置するため、特別な技術がなく、登れる山だったからです」と池田さん。

登山の達成感から、残りの6大陸の最高峰の登頂を目指そうと決めた。
2014年にはヨーロッパ大陸のエルブルス(5642m)、2015年には南極大陸のビンソン(4892m)を登り、その足で南米大陸のアコンカグア(6959m)を登頂した。

残るはアジア大陸最高峰のエベレスト(8848m)と、北米大陸のデナリ(6194m)、オーストラリア大陸のコジオスコ(2228m)。エベレストとデナリへの登頂は技術だけでなく、時間とお金もかかる。2022年4月、高地順応や天候待ちを含め2カ月の期間と、国産車1台分くらいの予算をかけてエベレストに向かい、5月に登頂を果たした。

その後、高所順応をキープしたままアラスカに飛び、デナリへの登山隊に合流。こちらも登頂を果たした。コジオスコにも2023年11月に登った。

池田さんにとって、医療、ボクシング、登山には共通する点があるという。それは、「結果がすべて」という点だ。

「手術は成功すること、ボクシングは相手に勝つこと、登山は頂上を踏むこと。人によって価値基準はそれぞれですが、自分はそういった姿勢で臨んでいます」

彼が大事にしている言葉に、「文武一道」がある。三船久蔵という柔道家の言葉で、学問も武道やスポーツも突き詰めれば根源は同じ、という意味だ。三船は池田さんの母校である仙台第二高校の先輩で、この言葉は学校の講堂に掲げられている。

「医療にせよ、ボクシングにせよ、登山にせよ、いかに自分が結果に対して満足できるか、妥協なくやり遂げるか。その点はすべてにおいて共通している」(池田さん)

体力が続く限り外科医でいたい

MSFの活動は今後も継続したいが、医師の働き方改革もあり、どの病院でも医師が一時的に抜ければ業務に大きな影響が出てしまう。

「これまで職場のサポートと応援をいただいてきましたが、これからはもっと自分自身のスキルを高め、日本の病院でスタッフの1人として貢献していきたい。“こいつがいてよかった”という働き方をしたい」(池田さん)

人生の最終目標は、「我が生涯に一片の悔いなし」。そう思って死にたいと話す。

「これは漫画『北斗の拳』の登場人物、ラオウの言葉です。外科医という仕事は一生できるものではありません。視力や手先が衰えてまで手術に固執したいとは思わない。しかし、体力が続く限り、できるだけ長く外科医としては働きたい」(池田さん)

国境なき医師団:非営利の医療・人道援助団体

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