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ヨシタケシンスケの絵本の「映像化できない」魅力 「たくさんの発想」を持つことで視野が広がる

東洋経済オンライン / 2024年9月4日 16時0分

アイデアが多ければ、たくさんの発想や視点によって世界を変えることができます(写真:Melpomene/PIXTA)

大学4年生のときに自己PRウェブサイト「世界一即戦力な男」を作り、インターネット上で話題となった菊池良さん。その後、会社員時代を経て専業作家として独立、『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』は累計17万部の大ヒットを記録しました。

そんな菊池さんの新著『えほん思考』は、古今東西の名作絵本から暮らしを豊かに・ビジネスを楽しくする26の思考術・発想法を抽出し紹介しています。

同書から一部を抜粋し、3回にわたってお届けします。

アイデアが多くて損することはない

アイデアはあらゆることから生まれる。
──アルフレッド・ヒッチコック(映画監督)

ひとつのアイデアに賭けるのもいいですが、アイデアが多くて損することはありません。

むしろ、たくさんの発想や視点によって世界を変えることができます。

ヨシタケシンスケ『りんごかもしれない』ブロンズ新社

【画像】ヨシタケシンスケさんの絵本『りんごかもしれない』の表紙

『りんごかもしれない』では、学校から帰ってきた男の子がテーブルのうえにりんごが置いてあることに気がつきます。

しかし、男の子は「もしかしたら これは りんごじゃないのかもしれない」と考え出します。見た目がりんごに見えるだけで、まったく別のものかもしれないというわけです。

そこから男の子の思考がめぐりはじめます。りんごではなくて、大きなさくらんぼかもしれない。りんごではなくて、丸まった赤い魚かもしれない。りんごではなくて、恐竜かなにかの卵かもしれない──男の子はさまざまな可能性を検討しはじめるのです。

『りんごかもしれない』の紹介文には、この絵本のことを「発想絵本」としています。まさにさまざまな発想を楽しめる絵本になっています。それはまるで大喜利のようです。「りんご」というお題に対して、ひたすら回答する大喜利です。

この絵本のストーリーは、「男の子がりんごを見つけて」「考える」だけです。ストーリーらしいストーリーはありません。しかし、たくさんの発想が積み上げられることで、独特のダイナミズムを生んでいます。発想のミルフィーユです。

おそらくこの絵本は映像化できないでしょう。映画やアニメといったほかのメディアでは成り立たないストーリーだからです。けれども、絵本では成り立つのです。絵本はアイデアのコアだけで成り立つ稀有なメディアなのです。

たくさんの発想が積み重なったこの絵本によって、読者はさまざまな可能性に気がつきます。発想次第で、どこまでも想像力を拡張できることを知ります。そして、たくさんの発想を持つことで広い視野を持てることがわかるのです。

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