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コスパ最強「元ジョイフル子会社」ビジホの実態 「365日4950円均一」九州の雄・AZホテルのすごさ

東洋経済オンライン / 2024年9月4日 10時0分

ポジティブな薄利多売

このような理論、思想に基づいてホテル経営を行う企業は非常に珍しい。アメイズがそうなった理由は、前身がファミリーレストラン『ジョイフル』の子会社だったことにある。

そもそもAZホテルの歴史は1994年、旅館チェーン『亀の井ホテル』を㈱ジョイフルが買収したことにはじまる。その後9年は旅館として経営していたが、

2003年、亀の井ホテルがジョイフルの子会社を離脱。またこの際、ジョイフルの当時の社長であった穴見保雄氏が辞任し、アメイズの取締役社長に就任。旅館経営は費用面で難しかったことからリブランドが行われ、ビジネスホテル・AZホテルが誕生した。

この穴見氏により、ジョイフルがファミレスとして掲げていたESLPの思想がAZホテルに受け継がれ、均一価格が設定されたのだ。そしてその後、2013年に、アメイズとして福岡証券取引所に単独上場した。

しかし、それから11年が経って時代や物価は変わりつつある。これまではずっと価格は据え置きだったが、「もう少し値上げしては」という議論も社内で出ている。

この状況についてアメイズ総務部・広田浩三氏は、「この先値上げを考えざるをえない状況なのは事実です。ただし値上げしても、あくまで均一価格で。ダイナミックプライシングの導入や、繁忙期と閑散期での価格変動はありません」と言い切る。

AZホテルの顧客は贅沢な滞在を願う人ではない。あくまで「安定した低価格」を求める人々であり、となれば価格変動は、長期的に見てネガティブ要因になるからだ。ポジティブな薄利多売、とでもいうべきビジネスモデルなのかもしれない。実際、AZホテルの稼働率は常時約半数を超えており、それで十分利益はとれている。

AZホテルには、均一価格のほかにもESLPに基づく3つの特徴的サービスがある。順番に解説しよう。

AZホテルの3つの魅力とは?

1.100円均一コーナーがある

2ホテルをのぞいて、全軒に100円均一コーナーがあり、雑貨や下着、おつまみが購入できる。こちらのコーナーは、「何も持って来なくても気軽に泊まれるように」という配慮から生まれたものだ。また同ホテルは全87軒のうち、大分別府駅前店、宮崎佐土原店を除いて郊外立地にある。そのため、コンビニが近くにない状況も考慮されての設置だという。

2.朝食無料

公式4950円、一般5280円という低価格ながら、その金額内に朝食ビュッフェが含まれている。予約要らずで宿泊者は誰でも食べられるとあって、非常に好評だ。

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