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コスパ最強「元ジョイフル子会社」ビジホの実態 「365日4950円均一」九州の雄・AZホテルのすごさ

東洋経済オンライン / 2024年9月4日 10時0分

公式HP以外から予約しても、このカードを宿泊時に持っていくか、予約時にカード利用の電話をすれば、いつでも330円割引されるシステムだ。ホテルの利用方法もまたシンプルで、例えば、24時間いつでもドアから出入りOK。そのために、受付カウンターにスタッフが24時間常駐している。

一方で、シンプルさは客室にも共通している。レイアウトは近年統一しており、インテリアは基本、ベッド、デスク、ライト、そしてユニットバスのみ。アイテムはテレビ、ドライヤー、湯沸かしポット。過不足なく、華美ではないすっきりとした空間だ。

価格もサービスも客室も、とにかくシンプルでわかりやすい。そうしている理由を問うと、「誰でも迷わず利用できるようにするため」と広田氏。そう、ここにもESLPのコンセプトが一貫しているのだ。

加えて、設備もサービスも過剰にオプションをつけると、人的コスト、運用コストが発生する。オペレーションもシンプルでわかりやすくあることで、それらを削減できているのだ。

ホテルのスタッフは1ホテル9名~と決して多くはないが、このシンプルさゆえに、現場は無理なく回っている。

安定経営ゆえに「ダイナミックプライシングは不要」

チェーンストア理論、そしてESLPに基づく「お客様が気軽に安心して、いつでもリーズナブルに、同じ価格で利用できる」というコンセプトがすべてに浸透しているAZホテル。チェーンストア理論を導入しているホテルは数少ないが、このような成功事例もあるのだ。

アメイズの自己資本比率53.1%(2023年11月期)と高く、他ホテルチェーンと比較しても安定した経営だ。チェーンストア理論に基づく経営スタイルが、商業主義に走ることなく、ゲスト目線での経営を進めていけるブレーキの役割を果たしているのではないか。だからこそ、ダイナミックプライシングは不要なのだ。

【画像】「4950円でも、部屋は微妙なんでしょ?」と思いきや…AZホテルの部屋の中や、色とりどりの朝食ビュッフェの様子

資本主義の世の中、賃上げやサスティナブルな経営であるためにダイナミックプライシングは重要だが、それを権利のようにふりかざしてゲストの負担になったり、嫌われてしまっては元も子もない。

昨今アメリカでは、株主第一主義の見直しが進んでいる。日本にもその流れが早晩来るとすれば、AZホテルの経営もそのヒントになりそうだ。同ホテルには今、中四国を中心に、ドミナント戦略で出店を加速していく計画があるという。まずは来年100店舗を達成し、将来的には300店舗を目指して着実に出店を続けていく。

笹間 聖子:フリーライター・編集者

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