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セリア「大量閉店」報道めぐる反応に覚えた違和感 「円安がすべての元凶」言説は理解が浅すぎる

東洋経済オンライン / 2024年9月4日 8時0分

セリアはホームページにも「100円ショップのSeria(セリア)」と記載している。デフレの象徴ともいえる低価格商品業態がどこまで方針を貫けるか注目したい(写真:ponta2012/PIXTA)

商品価格が多様化する100円ショップと、継続のセリア

「私たちの世界に価格競争はない」

【画像】「円安でセリアが苦戦、閉店が大幅増、ピンチ!」…とは単純に言えなさそうな、セリアの出店・退店数の推移

10年くらい前、テレビ番組の取材で多くの100円ショップ企業に出向いた。そのときに衝撃を受けた言葉がこれだった。つまり各社は商品を100円にしているから、価格はカルテルのように固定している。あとは、その100円のなかでいかにお客に選んでもらえるか、付加価値の勝負をしているのだ、と。

面白いと思った。たとえば自動車の価格が100万円で固定されて各社が争うことはありえない。100円ショップのくくりは独特で、100円を前提にして高品質・魅力ある商品を作ればいいのだ、と。

そこから幾星霜。現在では、100円ショップといっても、200円、300円、1000円のものも取り扱っている。商品の幅が増え、だいぶプライベートブランド商品が多数を占めるようになった。ダイソーはたとえば「100円の商品も置いているバラエティショップ」といったほうが近いのではないだろうか。

いっぽうで、セリアはホームページにも「100円ショップのSeria(セリア)」と記載している。基本的には100円均一を保持する方針だ。デフレの象徴ともいえる低価格商品業態がどこまで方針を貫けるか注目したい。

ところで、このところ、そのセリアの円安による不調が囁かれている。利益も減ったし、そして閉店が相次いでいるという。

【画像】「円安でセリアが苦戦、閉店が大幅増、ピンチ!」…とは単純に言えなさそうな、セリアの出店・退店数の推移

・セリアの最新状況

そこでセリアの有価証券報告書(2023年4月1日から2024年3月31日)を見てみよう。ここで面白い記述があるので引用する。

“100円ショップ業界は、当社を含む4社の寡占状態にあり、その店舗数は日本全体で8,000店を超えております。市場規模につきましては、各社とも継続的に出店しており、引き続き拡大していくと見られますが、近年、収益性が低下している傾向が見られることから、100円ショップ市場が飽和状態に入っている可能性が考えられます。その環境下で同業他社は、100円を超える価格の商品の取扱いを開始、拡充する動きを見せており、当社は100円商品に特化することで、100円商品のシェア獲得の好機と考えております。”(7ページ)

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