大昔、人類が生き延びたのは「犬のおかげ」だった? 3万年前「犬が人との生活を選んだ」といえる訳
東洋経済オンライン / 2024年9月5日 17時0分
オオカミに、人なつっこさにつながる遺伝的素因があったというのは意外ですが、わたしは道を歩いている時によくイヌが寄ってくるので、イヌとはどこかでつながっていると実感しており、この研究成果に納得しています。
イヌは家畜とは違う存在だった?
このようなイヌと人間の関係を見ると、家畜という言葉から思い浮かぶような、人間が自分の都合で特定の生きものの性質を思うように変える、というイメージが消えます。
生きものの性質は、本来少しずつ変化していくものであり、その結果、進化をします。進化には、「進」という字が入っているので、進歩と重ねて考えられがちですが、まったく違います。
進歩は1つの価値観で比較し、先進国、途上国などと縦に並べます。一方、進化はすでに何度も述べたように、多様化の道を歩み、それぞれがそれぞれとして生きることになります。つまり、さまざまに変化する(展開)現象なのです。
19世紀にダーウィンが、「進化は変異をしたものの中から自然選択された個体が残ることによって起きる」ということを示しました。基本的にはこれが進化のメカニズムであり、この考え方をまとめたのが有名な『種の起源』です。
ダーウィンは、ビーグル号に乗ってさまざまな土地の動植物に接し、とくにガラパゴスでの体験から環境によって、生きものの形態や暮らし方が変わることを実感し、変異と自然選択という進化についての考え方をまとめたといわれます。確かにそうなのですが、ダーウィンは子どもの頃から身近な生きものをよく観察していました。
もちろんそこには野生の動物や鳥もいましたが、本当に身近だったのはイヌやハトなど、飼っている生きものたちでした。とくにハトについては、手に入る限りの品種を飼い、世界各地から標本も集めて、それぞれの違い――つまり変異を調べています。
当時の人々は、異なる姿形や性質を持つ品種の原種はそれぞれ別の野生種であると思っていたのですが、ダーウィンは自身の観察から飼いバトはどれもカワラバトの子孫であると信じるようになります。そして、そこには自然選択の力がはたらいていると考えたのです。
ダーウィンは、人間は自分の望みの性質や形を持つ個体をつくり出しているような気分になっているけれど、そこにはたらいているのは「自然選択」なのだということを見出しました。
ここにある自然という文字はとても大事です。機械の改良は、人間の望みとそれを可能にする技術とで思うように進められます。イヌやハトも、速く飛ぶハトが欲しいと思ったら速い個体を選んで掛け合わせをしていきます。
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