スレッズで「客の愚痴」つぶやく飲食業界人の悲哀 実名や店の名前を出して…背景には猛烈なストレス?
東洋経済オンライン / 2024年9月5日 9時0分
飲食店がこのような愚痴を吐く気持ちもわからなくもない。
近年、飲食店を取り巻く環境はますますハードでストレスフルなものになっている。飲食店側が客の愚痴を言えば目立ってしまうが、そもそも客側は「口コミ」によりつねに飲食店の不満を言いたい放題なのである。こうした不均衡にストレスを感じる飲食店経営者がいるのは想像にかたくない。
SNSの功罪もある。SNSによって売り上げが伸びたという店がある一方で、SNSが望まぬ客を寄せ付けることもある。
Threadsにある愚痴で多い話題の一つである「ワインがウリなのに無料のお冷やを要求された」のようなことは、客と店のミスマッチの問題だ。SNS上で店の意図しないかたちで紹介されることにより、本来はターゲットではない層に店が知られ来店してしまう。
加えて、昨今の物価や人件費の高騰など、さまざまな社会背景の変化もあり経営はどんどんハードになっている。飲食店経営者の気苦労は計り知れず、愚痴の一つや二つ、言いたくなるのは否定できないが……。
実名で愚痴を発信することのリスクは大きい。ネガティブな話題は炎上につながりやすく、ましてや店名を出していたら実際の集客にも大きな影響を与えることは想像にかたくない。
今、Xをはじめとするネット上では毎日何かしらの炎上が起こっている。もはやおなじみとなってしまった光景だが、いちネットユーザーの発言に何かの拍子で火がつき拡散されていくという事象は、ここ最近で増えてきた出来事だ。
さかのぼればインターネット黎明期の1990年代から「炎上」の原型となるような出来事は起こっていたが、その多くは企業の「やらかし」への批判が中心だった。一般ユーザーが炎上に巻き込まれるようになったのはもっと後の話となる。
今のThreadsを見ていると、Twitterが登場したばかりの2000年代後半を思い出す。当時のTwitterは今ほどユーザー数もおらず、拡散されても範囲は限定的だった。それが今や多くのユーザーが参入し、多様な考えや思想が入り交じるようになった。
何か不用意な発言をしようものならあっという間に拡散。インフルエンサーが炎上を煽動することもあり、マスメディアのニュースのネタにすらされ、日本中の知るところとなってしまう。そんな状況から人は炎上を恐れ、発言にはそれまで以上に細心の注意を払うようになった。
実際に、総務省が出している「ネット上での炎上を巡る議論」によれば、炎上が劇的に増加したのはモバイル端末とSNSが本格的に普及し始めた2011年からだという。
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