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「空き家を転々としながら暮らす」彼の快活人生 複数の拠点で暮らす「空き家ホッパー」の実態

東洋経済オンライン / 2024年9月6日 14時0分

私たちは部屋を探すとなるとまず不動産会社と考えるが、空き家が増えつつある昨今、聞いてみると誰かしら空いている空間を持っていたりするもの。一定期間居住後に確実に返してくれるという信頼関係があれば、当座そこに住むことは可能なのかもしれない。

現在、東京での本拠地としている23区西部の一軒家もそうやって探した3軒目。古くからの友人の親戚が住んでいた家で、本来の主は高齢者施設に入所しており、空き家化していたもの。

それを自分で残置物を処分し、できるところは友人たちと一緒に手を入れた。初期費用を嶋さんが負担したことから、家賃は一般よりも安くしてもらっているという。

家具・家電はほぼ全てがもらいもの。テレビや冷蔵庫、オーディオ機器やソファ、食器棚、足裏マッサージ機(!)までもらったというから驚きだ。広く声をかけてみると使わない何か、捨てる予定の何かを持っている人は多く、もらってくれるなら捨てるよりましとそうした品が嶋さん宅へ集まった。モノを捨てるにもお金のかかる今、欲しい人がいるならあげるよという人は少なくないのだ。

現住居は1階に2部屋+キッチンと水回り、2階に3部屋と一人暮らしには広すぎる家だ。が、前述したように地域商品の開発や、プロモーションなど地方を回る仕事をしていたため、上京してくる関係者も多く、そうした人たちとの宴会や宿泊など広さは無駄になっていない。都心の宿が高騰する中、空いている部屋を無料で提供することで人間関係は広がり、深くなった。

次の転機になったのは定年退職。一昨年、60歳ですっぱりと会社を辞めてフリーランスになったのだ。

「子どもが2人。塾などに月に5万円などとかかっていた時代もありましたが、離婚する頃には大学を出るか、出ないかという時期で、子どもにはかからなくなっていましたし、離婚して1人になれば誰かにお金を使う必要もない。荷を下ろしたような感覚がありました」

1つの会社からだけ給料をもらう暮らしから、いろいろなところから少しずつもらう暮らしへ。それまでに築いてきた人間関係がその生き方を助けてくれると考えた。

春と秋は宮崎の「ぽつんと一軒家」で過ごす

退職の少し前から通うようになったのが宮崎県の諸塚村だ。3年前に知人を通じて存在を知り、熊本から足を延ばして訪れた後、縁あって2度、3度と訪れることに。そこで特産の椎茸のブランディングを提案し、仕事で関わっているうちに村の山のてっぺんにある古民家体験交流施設に滞在することになった。長期に滞在する必要があったためだ。

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