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「空き家を転々としながら暮らす」彼の快活人生 複数の拠点で暮らす「空き家ホッパー」の実態

東洋経済オンライン / 2024年9月6日 14時0分

「以前はキャンプなどにも使っていた場所ですが、コロナで利用されなくなり、その後の大雨で直接繋がる道路が被災しました。土地を知らない人には案内しにくいということで、現在はほぼ使われない、いってみれば空き家に近い状態です。

今は春、秋にそれぞれ2カ月ずつ滞在。時々村のイベントに東京の知人を紹介、アテンドしたり、友人たちを村に呼んだりしています。これまでにコロナ禍だった時期も含めて100人ほどが遊びに来ていて、そのうちには2度3度と来ている人もいます」

大正時代、明治時代に建てられた2棟からなる施設は最大で30人ほどが泊まれる大きなもので、囲炉裏、五右衛門風呂があり、都会から訪れた人たちには非日常を楽しめる場所。繰り返し訪れる人がいるのもわかる。なんといっても「ぽつんと一軒家」そのものなのである。

友人が訪れた時には村や周辺を案内、それ以外の時には地元の人と山菜獲りをしたり、茶を炒ったり、周辺のカフェを訪れたりと都会ではありえない晴耕雨読な生活を送っている。

その一方で2023年に諸塚村の森の中で開催された坂本龍一さんを偲ぶ音楽イベントでは友人である湯山玲子さんをプロデューサーに迎え、本人も飲食を担当するなどして、村の観光、認知度アップに貢献してもいる。もちろん、こうしたイベントはビジネスとして受けている形だ。

こちらの交流施設は1泊3000円で3泊目からは1000円。1カ月滞在しても3万円ちょっと。最近ではあちこちに作られるようになった交流施設だが、移住を目的とする施設が多く、目的が目的だけに諸塚村に限らず、長期滞在しやすい料金設定になっていることが大半だ。

だが、意外に使われていない例が多いのは関係人口にまで意識が行っていないため。移住してきそうな人にしか貸さないというケースが少なくないのだ。だが、嶋さんの例を見ていると関係人口にまで幅を広げれば、せっかくの施設が生きるのではないかと思う。

夏に過ごすのは蓼科高原

もう1つの夏の拠点、蓼科高原は古くからの知り合いである農園主の親族の住宅。長らく賃貸していたそうだが、たまたま空いた。そこで農園主がその住宅に宿泊する農業体験ツアーを企画、嶋さんが管理人として呼ばれた。住宅に住み込み、ツアーに参加する人に朝食、夕食を提供し、農園や周辺の名所を案内するというのが仕事だ。

と聞くと大変そうだが、訪れる人の多くは嶋さんの友人たち。言ってみれば友人たちに涼しいリゾート地に遊びにおいでと声をかけ、一緒にご飯を食べ、農園や名所を案内し、時には外食に出かけ、温泉に入るというもの。知らない人相手ならいろいろ気遣いもあろうが、旧知の仲であれば夏の楽しいイベントといったところだろう。

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