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「空き家を転々としながら暮らす」彼の快活人生 複数の拠点で暮らす「空き家ホッパー」の実態

東洋経済オンライン / 2024年9月6日 14時0分

こちらは管理人として依頼されているので、嶋さんが住居費を払うことはない。毎日誰かが来ているわけではないので、日によっては1人でのんびり過ごすこともある。ワーケーション目的で来る人もいるので、その場合は朝食、夕食だけを用意すればいい。

遊びと仕事、旅と日常の境目のない、いつも時間、仕事に追われて都会に暮らしている人からするとうらやましいというか、妬ましいような生活だが、今後、嶋さんのような各地に拠点を持つ暮らし方が増えていくのは間違いない。

2023年7月に閣議決定された第三次国土形成計画(全国計画)には地方への人の流れの創出・拡大や新たな暮らし方・働き方の先導モデルの形成などという言葉が散りばめられており、転職なき移住や二拠点居住などといった具体像が掲げられてもいる。

これに合わせて2024年5月には法改正(*)が行われており、二拠点居住促進のためにさまざまな制度が創設されている。今後5年間で二拠点居住推進のための計画を策定する自治体数累計600を目指すなどと目標も設定されており、現時点では本気らしい。

人の移動によって経済や人の意識が動く

実際には教育や税の徴収、医療その他乗り越えなくてはいけないハードルは多々あり、また、その土地に留まり続けなければ成り立たない仕事も多く、意識の問題も考えると誰もが二拠点居住、旅人のような暮らしができるわけではない。

それでもそこに期待したいのは、複数の家を使う人が増えれば空き家が多少なりとも使われるようになることや、人の移動が経済や人の意識を動かすことなどいろいろなメリットが想定されるためだ。今どきであればSNSを通じた旅する人の発信が多くの人に届くこともある。 

このところの日本にはどこか停滞感が漂うが、停滞から生まれるものは少ない。動ける人が動けるようにすれば、社会にも変化が起きるだろう。旅人が地域を、社会をかき混ぜることで起きる変化を楽しみにしたい。

(*)広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部が改正された

中川 寛子:東京情報堂代表

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