JR参宮線田丸駅「木造駅舎をあえて新築」の大転換 旧駅舎は老朽化で解体、町が雰囲気を「再現」
東洋経済オンライン / 2024年9月6日 7時30分
三重県伊勢市の伊勢神宮へは、古くから「お伊勢参り」と称して大勢の参拝客が訪れてきた。現在、鉄道で伊勢市を訪れるルートは大きく分けて2つある。
【写真40枚を見る】大正元年に建てられたというJR参宮線田丸駅の旧駅舎。解体されたが、玉城町が同じ場所に「木造駅舎」を新築した。旧駅舎と新駅舎を比較
近鉄山田線とJR参宮線
メジャーな行き方は近鉄線。名古屋・京都・大阪の各方面から近鉄山田線に直通する「しまかぜ」「伊勢志摩ライナー」といった有料特急が頻繁に運行されていて、皇族や首相の神宮参拝にも利用されている。
松阪駅を過ぎると、平安時代の建物が復元された史跡斎宮跡を眺めて、宮川を渡り伊勢市駅に到着する。豊受大神宮(外宮)へは同駅から歩いていくことができる。皇大神宮(内宮)へは同駅のほか、すぐ隣の宇治山田駅、鳥羽線の五十鈴川駅から三重交通のバスが出ている。赤福本店がある内宮前のおはらい町・おかげ横丁は観光客でいつもにぎわっている。
【写真】築100年超の駅舎を「木造駅舎」に建て替えたJR参宮線の田丸駅。旧駅舎の姿と伝統を受け継いだ新駅舎、そして地域のシンボル「田丸城跡」など(40枚)
一方、名古屋方面からはJR線を使う手もある。関西本線・伊勢鉄道・紀勢本線・参宮線を経由する「快速みえ」が名古屋駅から平日は8時台から20時台、土休日は7時台から20時台に1時間に1本出発している。自由席であれば乗車券だけで乗れる。紀勢本線は松阪駅を出ると直線的な近鉄山田線から南へそれて多気駅に到着する。
参宮線は多気駅で新宮方面の紀勢本線と分かれ、伊勢市駅を経て鳥羽駅までを結ぶ29.1kmの路線。近鉄線が複線電化なのに対し、紀勢本線と参宮線は単線非電化で交通系ICカードも使えない。ただし、ディーゼルエンジンをうならせて走る気動車好きにはたまらない路線と言えそうだ。
参宮線はいまから130年以上前の1893年、私鉄の参宮鉄道によって津駅―宮川駅間が開業。1897年に現在の伊勢市駅まで延び、国有化された後の1911年に終点の鳥羽駅まで延伸した。戦前は伊勢神宮への参詣路線として全国各地から列車が直通し、複線区間もあった。戦後になって、参宮線だった亀山駅―多気駅間は紀勢本線に組み入れられた。1972年までは東京と鳥羽を結ぶ夜行急行列車も走っていた。
近鉄とJRの双方が乗り入れる伊勢市駅は改札も共通。外宮に近いのはJR側の改札で、4番線と5番線しかない近鉄のホームからは長い跨線橋でJRの留置線を渡る必要がある。伊勢市から鳥羽方面では、山あいをまた直線的に結ぶ近鉄線に対し、海の近くを走る参宮線は二見浦の名所の夫婦岩へもアクセスできる利点がある。
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