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伊藤忠の文書流出「平社員でも年収2000万」の真偽 給与制度改定の文書に「雇われたい」とSNS沸騰

東洋経済オンライン / 2024年9月6日 14時50分

よく似た別の話を紹介します。私がいたコンサルファームで、その当時、三菱商事からローソンに出向して成功していた新浪剛史社長(当時)が商社に戻るかどうかを議論したことがあります。商社出身のコンサルは口をそろえて「戻るわけがない」と断言していました。

他にいけばプロ経営者として活躍できるのに、戻ったら部長止まりだというのです。商社では出る杭は居心地が悪いとも言われました。その意見が正しいかどうかはわかりませんが、その後、新浪氏はプロ経営者としてのキャリアを歩んでいます。

一方で課長あたりまでは大きな差がつかないというのも商社では常識のようです。この点は、転職会議などのサイトでの従業員の書き込みでも確認できます。ある商社OBによれば「50歳になるまで、大半の社員に“自分も役員になれるかもしれない”と錯覚させるのが商社の人事制度の神髄だ」といいます。

なにしろ総合商社の投資先を「戦線」として捉えると、その戦場はとても数が多いのです。伊藤忠商事の約4100名の正社員たち(注:海外現法や投資先などへの出向者を含めると人数はこれよりも多い)が老境にさしかかるまで「自分は会社から認められている」と信じていたほうが会社はきちんと回るのです。

その点で、先述したMBOという目標管理制度は総合商社の中でのメリハリをつけるのに都合のいい制度です。目標を達成したら年収が上がるのですが、次の年の目標はさらに上がるので連続して目標を大幅達成するのは簡単ではありません。毎年、毎四半期、別のヒーローが出現するように報酬制度を運用することができます。

それらを考慮すれば、目標達成した社員が年収2000万以上を維持できるとは限りません。頑張っているグレード3の普通のヒラ社員の来年度の年収は、今年度トップランクだったヒラ社員とそれほど変わらない水準になるのではないでしょうか。

ポイント3:子会社の給与は世間並

さて、冒頭で話題にしたXの投稿の中には、専門家からみれば微笑ましいポストも垣間見られました。

「今からビッグモーターに入社」という投稿を見つけました。ビッグモーターは伊藤忠が買収して今では会社の名前は変わっているのですが、伊藤忠グループに違いはありません。その旧ビッグモーターに入社したら流出文書と同じ給与がもらえるのかという投稿ですが、当然、そうではないのです。

伊藤忠商事の従業員は連結ベースで11万3700人いらっしゃいます。彼らが勤務するのは伊藤忠のグループ会社や投資先の子会社です。そしてそのような会社で働くひとたちの給与水準はそれぞれの業界の水準と変わらないものです。

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