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出撃後ほぼ「全滅」日本海軍潜水艦の最大欠点 攻撃をかわす長時間潜航が可能な空調があったら…

東洋経済オンライン / 2024年9月7日 9時0分

基本的に日本の潜水艦はアメリカの米駆逐艦から遠ざかるが、これは艦尾をソーナーに向ける姿勢であり音響反射面積は最低限となった。つまり見つかりにくくなるのである。仮に見つかって攻撃を受けても攻撃回避はできた。そのようにして午後まで凌げばソーナー探知も難しくなる。

一度、出し抜けば脱出も難しくはない。アメリカの駆逐艦は、最後に探知した地点を中心にして再捜索する。その間に逃亡を図る。吸気筒や潜望鏡はレーダ探知の可能性があるので上げない。逆探知されるので、アンテナを上げての無線通信もしない。

それから2日も経てば逃げ切れる。アメリカの駆逐艦はそれほど長くは居座らない。最後に水中探知してから2日間、50時間も経つと潜水艦であっても100キロメートル近くは移動している。その頃には、見当違いの場所を探している可能性が高い。そう判断して立ち去る。

つまりは、4日間ほど潜航できれば生存率は大幅に高まったのである。最初の1日でアメリカの駆逐艦を出し抜く。次の2日間、2・3日目に潜航を続けて脱出を続ければ、4日目には周辺海面は安全になっている。そうなれば浮上しても差し支えはない。

真上にアメリカの駆逐艦が待ち受けていることはないし、レーダーで探知される可能性も低くなっている。そこで換気を行いエンジンを起動して電池を充電すれば、再び4日間の潜航も可能となる。

しかし、日本潜水艦にはその4日間の潜航ができなかった。潜ってさえいれば生き残れた。それにもかかわらず空調不備で浮上せざるをえなくなった。そのために沈んだのである。

乗員ミスによる沈没も減る

第2は、乗員のミスも減ることである。日本潜水艦が空調完備であれば艦長以下の判断ミスによる回避失敗や、誤操作による沈没事故の可能性も減る。

艦内の環境悪化も、日本潜水艦が沈んだ原因と推測されている。駆逐艦に追い立てられている間に二酸化炭素濃度が上がり、各種の発熱で湿度100%のままで室内温度は40度まで上昇してしまう。

そうなると判断力は低下する。回避動作は緩慢となりその際の誤判断、機材誤操作も生じる。それにより沈没の可能性は高まるのである。

アメリカの駆逐艦から辛くも逃げ切った潜水艦の乗員も、その旨を述べている。変わったところでは、紛れ込んだネズミも呆然としてしまい逃げようとしなくなったという話もある。これも先に述べた「厄介な乗り物としての潜水艦(2)」で紹介されている。

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