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経営者SNS「セクハラ軽視発言」の本当の被害者 「セクハラなんて可愛く思える…」と発し、炎上

東洋経済オンライン / 2024年9月7日 10時0分

企業経営者によるSNS上での失言は、しばしば炎上のタネになる。その多くは「自らの価値観に基づく発言」が、世間とのギャップを生んでしまい、批判の対象になっている。実体験のみ、もしくは極めてサンプル数が少ないにもかかわらず、主語を大きくしてしまうことで、「常識とは異なる見解」だと捉えられてしまうのだ。今回のケースも、そのように考えている。

世間の反感を買ってでも、ビジョンを貫き通そうとする

そもそもベンチャー起業家は、性別を問わず、自信と自己顕示欲が重要だ。世間の反感を買ってでも、自らのビジョンを貫き通そうとするからこそ、資金を集めることができるし、事業をスケールアップさせる原動力にもなるだろう。

もちろん、だからと言って、当然ながら松本氏をはじめ、あらゆる起業家の発言を擁護するわけではない。ただ、起業家全体の傾向として、「我を貫いてナンボ」なイメージを持っているのは、筆者だけではないだろう。

しかし、その個性をどこで発露するかは、慎重に考える必要がある。起業家や、その社内では「一般論」とされていることでも、誰しもに当てはまる共通見解とは限らない。今回のような性別もそうだが、地域や言語、宗教など、あらゆる立場の人間がいる空間で「主語を大きくする」ことは、メリットよりも、むしろデメリットのほうが大きい。

経営者は「企業の顔」であり、個人のSNS投稿であっても、「法人としての意思表明」と認識されてしまう。好印象を与えて、ブランドイメージを高める可能性もあるが、逆もまたしかりなのだ。

積み上げてきたブランドイメージを崩される悲しみ

経営層と言っていい立場にある人物の発言で、企業イメージそのものが悪化したケースで、記憶に新しいのが牛丼チェーン「吉野家」常務取締役企画本部長(以下、肩書は当時)の事例だ。

2022年4月、早稲田大学での社会人向け講座で、講師に招かれた常務が、自社のマーケティング手法を「生娘をシャブ漬け戦略」と紹介。「生娘のうちに牛丼中毒にする」などと説明した。

当然ながら、この発言は受講生によって、すぐさまSNSにて拡散され、炎上を呼んだ。吉野家は講座の2日後に「極めて不適切であり、人権・ジェンダー問題の観点からも到底許容できるものではありません」と謝罪し、同日付で常務を解任した。

吉野家は当時、「10年かけて開発した親子丼」の販売直前だった。しかし常務発言の余波で、発表イベントをはじめとするPR活動の自粛を余儀なくされる。結果的に「親子丼」は2カ月半で終売となったが、翌年からは期間限定商品として販売されている。

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