相川七瀬「40代で見つけたロック以外の新しい軸」 「大学と家庭の両立」葛藤を超えて掴んだもの
東洋経済オンライン / 2024年9月8日 13時10分
――全てに手を抜けなかったんですね。
家族は協力的でしたけど、自分で自分を追い詰めてしまっていたんです。自分でなんとかしよう、睡眠時間を削って乗り切ろうとしていたけど、歌い手としてはコンディションも整えなくちゃならない。25周年ツアーの時はもういっぱいいっぱいでした。それでも、仕事と家庭と学業と3つをやり切るんだという精神力だけで突き進んだ結果、いちばん辛かった年の成績が1位だったんですよ。これは本当に自分の努力が報われた気がして、素直にすごく嬉しかったです。
――ちなみに、神道を学ばれ、研究されているわけですが、そもそもロックミュージシャンだった相川さんがなぜ神道だったのでしょうか?
ここ10年以上、神社の神事で歌わせていただいたり、赤米大使(長崎県対馬市、鹿児島県南種子町、岡山県総社市の3地域に伝わる赤米神事の伝統文化を広めるために活動する大使)をやらせていただいたりもしていることもありますが、実は最初に神道に興味を持ったのは、25年以上も前のことです。23歳くらいの時かな。
――それはだいぶ早いですね。きっかけは何ですか?
23歳の頃、イギリスに数カ月間、ホームステイ留学していたんです。ホストファミリーは日本人のご家庭だったんですけど、私が帰国する時に一冊の本をくださって。それが神道の本でした。かつて春日大社の葉室頼昭さんが書かれていた『〈神道〉のこころ』という本。
「あなたはアーティストだから英語はしゃべれたほうがいい。でも、もっと大事なのは日本語だ」という言葉とともに、この本を渡されて。この本には、神道や神話のこと、母国語をきちんと理解して話すことの大切さについても書かれているんですよね。帰りの機内で読んで、もう感動しちゃって!
――海外で日本の心について知る機会を得たという。
それまでは、海外の聖地と呼ばれるような場所を旅するのが好きだったんです。たとえば、ネイティブアメリカンの聖地・セドナとか。それまで聖地は遠くにしかないと思っていましたけど、日本にこそあるんだと。日本ってすごい神の国なんだと気付かされて、ツアーのたびに全国の神社を巡り、その土地の神社のお祭りにも参加するようになりました。
伝統を残していくことに関わっていきたい
――近年は、神社を巡ることもブームになっていますが。
私の神道への興味は1998年から始まりました。御朱印帳も今でこそカラフルで可愛いものが揃っていますけど、私が集め始めたのは、渋い本格派の御朱印帳しかなかった時代ですね(笑)。20年前からプライベートで神社巡りしているから、そこで出会った神職の方々も、次第に役職が上がって宮司になっていたり、ご子息が私と同級生だったり、人生面白いなと思います。
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