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京大教授が説く「株式投資」シンプルかつ深い心得 株式投資とは「成長の果実を分けてもらうこと」

東洋経済オンライン / 2024年9月8日 7時0分

個別株投資をするか、しないか、迷っている人に伝えたい「株式投資の本質論」とは?(写真:tabiphoto / PIXTA)

iDeCoや新NISAでつみたて投資信託をしている人の中には、次のステップとして、個別株投資を考えている人もいるでしょう。しかし「損をしそうで怖い」「忙しくて時間がない」などの理由で二の足を踏んでいる人も多いのでは。

そのような中、日本生命保険の資産運用部門の担当取締役をへて、京都大学で証券投資を分析・研究、60年にわたり株式市場と付き合う川北英隆氏は、「売買をなるべくせず、長期保有によって、企業や経済成長の利益を享受することが株式投資の本質」と説きます。

川北氏の新著『京都大学人気講義の教授が教える 個別株の教科書』より一部を抜粋、再編集し、株式投資の本質論について3回にわたってお届けします。今回は1回目です。

「資産運用」と「投資」は異なる

2023年、政府は「資産運用立国」という政策を打ち出し、「貯蓄から投資」とのかけ声の下、新しいNISA(少額投資非課税制度)を導入した。

【画像】長期保有する「優れた企業」の株を見つけるステップをわかりやすく

政府が「投資立国」ではなく「資産運用立国」を政策目標とした背景には、個人の金融資産の形成において、株式や債券を売買して儲けようとするのは邪道である、そうではなく、じっくり保有することで資産を増やしていくことが王道だとの発想がある。

そのように筆者は漏れ聞いている。この発想はきわめて正しい。

ここで、非常に大切なことを書いておく。それは「資産運用」と「投資」は異なるということだ。

一般に用いられる「投資」には「売買する」ニュアンスが強い。これに対して、「資産運用」には「売買」の意味が乏しい。むしろ長期間にわたって金融資産を保有するとの意味あいが強く込められる。

そもそも個人が株式を買う場合、大別して2つの意図がありうる。

① 安く買って高く売り抜けたい

② 優れた企業の株式をじっくりと持っていたい

である。

①を「短期売買型(もしくは短期投資型)」、②を「(長期)資産運用型」とする。この2つを区別しないのが一般的だが、実際はどちらを選択するかにより期待できる収益率に明瞭な差異が生じる。

「短期売買型」とは、これまでの一般的なイメージとしての「株式投資」である。

では短期売買はどの程度成功するのだろうか。

短期売買型と長期資産運用型の違い

単純化すれば「誰かの買い」は「誰かの売り」である。このため投資家全体としては、短期売買によって損得は生じず、誰かの得は誰かの損、この損得を足し合わせればチャラ、すなわちゼロサムである。

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