京大教授が説く「株式投資」シンプルかつ深い心得 株式投資とは「成長の果実を分けてもらうこと」
東洋経済オンライン / 2024年9月8日 7時0分
これが筆者の60年にわたる株式市場との付き合いから得た結論である。
1個のずっしり重い果実を手にしてほしい
京都大学において2005年から今日まで、証券投資理論、証券市場分析などの講義やゼミに携わってきた。理論や分析結果を議論する合間、株式投資の話題も時々だが学生に話すことがある。その際に、しばしばこう説明してきた。
本当の株式投資(株式保有)とは副業の一種である。
自分の好きな仕事をしながら、もしくは趣味を楽しみながら、ついでに株式投資を楽しみ、できれば1個でも2個でも、まあ半分でもいいので、成長の果実を分けてもらうことである。
副業だから、株式に多くの時間を取られたくない。
いつも学生たちに紹介する理想の生活像として、「常夏のリゾート地で夕日を眺め、ワイングラスを傾けながら、ふと気づいたようにパソコンを広げて当日の株価と、それに関連するニュースをチェックすること」がある。
チェックするだけだから、10分もあれば十分だろう。その後は再びリゾート地での自分自身の時間を楽しめばいい。
つまり、理想の風景と時間においては、株式を売買する必要がない。異変が生じていないことを確認すれば十分である。
世の中が平穏であり、これまでと変わったことがないと確認できれば、パソコンを閉じ、リゾート地の世界と、その時間の流れに戻る。あとは世界のどこかで、優れた企業家たちが、「株価」という果実を膨らませてくれるだろう。
新NISAやiDeCoに注目が集まり、若い人たちによる投資信託を利用した証券投資が増えている。株価の上昇が個別株(株式)投資への関心を高めている。
読者諸氏が、1個のずっしりと重い果実を、いずれ手にされることを祈念してやまない。
川北 英隆:京都大学名誉教授、京都大学成長戦略本部・証券投資研究教育部門 客員教授
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