京大教授が説く「株式投資」シンプルかつ深い心得 株式投資とは「成長の果実を分けてもらうこと」
東洋経済オンライン / 2024年9月8日 7時0分
むしろ手数料やそれにかけた時間などを考慮すれば、合計はマイナスになる。さらにはその道のプロもいるうえに、最近ではAI(人工知能)の発達も著しい。これらに個人の投資家は勝てない。
つまり短期売買型とは投機である。個人を短期売買型に向かわせれば、結局は損失で終わり、資産を増やすどころではない。
これまで「貯蓄から投資へ」と資金が流れなかったのは、「株式とは売買で儲けるもの」との思い込みが強すぎ、損失を被った個人が多かったためだ。
これに対し、長期の資産運用型はどうだろうか。
経済の成長とともに企業は成長し、利益を増大させる。その企業利益を反映して配当金が支払われ、さらには株価が形成されるのなら、長期保有は投資家にプラスの収益をもたらす。
つまり資産運用型なら、投資家は企業成長の利益を享受できる。
また資産運用型の資金が企業に向かえば、企業の成長を促し、経済が成長する。まさに政府が期待しているような「個人金融資産、企業、日本経済」の三者の成長と好循環が実現するだろう。
優れた企業の株式を「長期間保有」が重要
筆者は、長らく日本生命保険の資産運用部門に携わったのち学会に転じ、証券投資を分析・研究してきた。一方で、個人としても幼少から株式に親しみ、今日まで株式投資を続けている。
一個人としては結局のところ、「優れた企業の株式を長期間保有することが重要」との結論に至った。
市場全体が非常な活気に包まれ、株式と名前がつけばなんでも上がったとき、「出遅れた」と感じたこともある。しかし結果として大ケガもせず、それなりに満足のいく結果を残せてきた。
「優れた企業の株式を長期間保有する」ことについて、別の表現をしておく。
成長しつつ、内外の経済活動を支えている複数の個別企業の株式(個別株)を長期間保有することにより、それらの企業が実らせる多くの果実のうちの1個を分け与えてもらえる。
たった1個の果実だとしても、ずっしりと重く、個人の生活には十二分な大きさだろう。
確認のためにもう一度述べる。「短期売買」は企業が実らせる果実とは無関係のゼロサムのゲームである。「長期資産運用」は経済成長が実現している社会ではプラスサムであり、長期資産運用を目指した全員が利益を享受できる。
長期資産運用はプラスサムであるから、株式に関する知識があまり高くないとか、時間がないといった個人にも向いている。
「将来性があり、経営も優れていて素晴らしいのでは」と思う企業の株式を買い、その後は時たま株価や業績を見る程度であっても、長い時間が経過すれば、ずっしりと重い果実を得ている可能性が高い。
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