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JR東海リニア「名古屋―新大阪」着工時期の矛盾 国がゴリ押し「2037年全線開業」高いハードル

東洋経済オンライン / 2024年9月9日 7時30分

その流れを説明すると、まず、事業主体が環境保全のために配慮すべき事項について検討を行い、その結果をまとめた「計画段階環境配慮書」を作成し、環境大臣などの意見を踏まえ、どのような方法で調査・予測・評価をするのかを示す「方法書」を作成、さらに、自治体の首長や住民らの意見を聞きながら調査を実施し、調査・予測・評価・環境保全対策の検討結果を示す「準備書」、準備書に対する環境大臣などの意見を踏まえ、必要に応じて準備書の内容を見直して「評価書」を作成する。

品川―名古屋間の環境影響評価を例に取れば、2011年に配慮書が公表され、方法書、準備書の作成を経て2014年8月に環境影響評価書を作成し、同年10月に工事実施計画が認可された。このスケジュールを踏まえれば、2027年に着工するためには遅くとも年内には配慮書を作成する必要がある。

こんなスケジュール感のもと、2023年6月にリニア中央新幹線建設促進期成同盟会は「2023年から環境影響評価に着手する」ことを決議し、政府も骨太の方針で追認した。

配慮書を作成する前にルートや駅の位置の詳細を詰めておく必要がある。品川―名古屋間では2008年には南アルプスの山中でボーリング調査を行っていた。名古屋―新大阪間については地元自治体の協力を得ながら文献調査などの準備作業を進めていたが、2023年12月7日、JR東海は三重、奈良両県の駅候補地周辺においてボーリング調査を始めたことを公表した。

これをもって国土交通省は「環境影響評価に着手した」と説明した。事態は2027年着工に向けて動き出しているように見える。

では、JR東海は2037年の全線開業という国の要望をどう捉えているのだろうか。この点についてJR東海に問い合わせたところ、以下のような回答が得られた。

「中央新幹線計画は当社が自己負担で進めるプロジェクトであり、民間企業として経営の自由と投資の自主性のもと、健全経営と安定配当の堅持を大前提に計画を完遂することとしています。名古屋以西については、低金利状況を生かした長期、固定かつ低利の財政投融資を活用した借り入れにより、名古屋開業後連続して、大阪への工事に速やかに着手し、全線開業までの期間を最大8年前倒すことを目指す方針としています。トンネル掘削工事に着手できないまま、契約の締結から既に6年半以上が経過している南アルプストンネル静岡工区の状況を踏まえると、名古屋・大阪間の工事スケジュールにも自ずと影響が生じることになる可能性があるのではないかと考えており、現時点では、まだ全線開業時期について申し上げられる段階ではありませんが、まずは名古屋までの工事に全力を尽くしてまいりたいです」(太字は編集部による)

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