アメリカの株価が下落する懸念が高まってきた 今後の利下げで本当に市場は落ち着くのか
東洋経済オンライン / 2024年9月9日 10時30分
中央銀行の金融政策が経済に影響を及ぼすようになるには、少なくとも半年から1年以上の期間を要することを考えれば、今度は、利下げによって景気悪化をすぐに食い止めることは不可能だ。将来的な景気の減速は避けられないという現実に、市場が直面せざるをえなくなったことによって、不安が極度に高まったというだけの話だ。
では今後、景気はどの程度悪化するのだろうか。市場が期待している経済のソフトランディングは、まだ実現する可能性が残っているのか。それともハードランディングになってしまうのか、はたまた深刻なリセッション(景気後退)に陥ってしまうのか。
結論から言えば、現時点ではまだわからないというのが本音だろう。2020年以降の経済成長と株価上昇は、新型コロナウイルスの感染拡大以降に打ち出されたFRBの極端な金融緩和策や、政府によるかつてない規模の財政支出によってもたらされた要因が大きい。
前例のないほどの大規模な政策によって作られた好景気と株価上昇だっただけに、それが終わる際の展開も、また前例がないものとなる可能性が極めて高いのではないか。「◯◯ショックの際の状況に似ている」「××危機の際のパターンに似ている」などといった意見が出ているが、そうした分析は話半分程度に聞いておき、予想ができないような事態になることも頭の片隅に入れておいたほうがよいのではないだろうか。
今後はまだ楽観的なシナリオ実現もある?
とはいえ、前例がないからと言って、何も見通しを立てずに手をこまねいているだけというわけにもいかない。ここでは現実的な見通しの中で一番よいものと悪いものの2つを紹介したい。その際に最も重要なカギを握るのは、やはりインフレ動向ということになりそうだ。
市場にとってベストのシナリオは、このままインフレが徐々に鎮静化し、FRBが9月17~18日のFOMCで利下げに踏み切ることだろう。すでに金融引き締めの効果が出てきているのであれば、仮に0.5%の利下げに踏み切ったとしても、すぐに景気のさらなる悪化を食い止めることはできないかもしれない。
だが、逆に言えば、それはある程度想定済みということもできる。むしろ、利下げによって市場が安心感を取り戻し、消費者心理の悪化が食い止められる可能性に期待したいところだ。
今後、アメリカ経済が第4四半期(10~12月)あたりにマイナス成長に陥っても、その後経済が回復、リセッション(2四半期連続のマイナス成長)を免れることができるなら、むしろ2025年の年明け以降は金融緩和の効果も現れ始め、相場も回復に転じるのではないか。
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