北海道が提案、函館「新幹線アクセス線廃止」の愚 運転手不足なのに4000人超をバスで運べる?
東洋経済オンライン / 2024年9月10日 7時30分
2023年12月27日、北海道新幹線の札幌延伸に伴いJR北海道から経営分離される区間のうち函館―長万部間のあり方を協議する北海道新幹線並行在来線対策協議会渡島ブロック会議が1年4カ月ぶりに開催された。
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函館―長万部間の鉄路存続は決まっているが…
宇野稔弘北海道交通企画監を座長とする協議会では道側は、北海道新幹線のアクセス路線として輸送密度が4000人を超える函館―新函館北斗間も含めて全線のバス転換を沿線自治体に対して提案。バスドライバー不足で既存のバス路線の減便・廃止が相次ぐ中で、貨物の問題も含めて鉄道路線の存廃を保留しバス転換を議論するという協議を進めている。
北海道新幹線の並行在来線となる函館―長万部間については北海道と本州を結ぶ貨物列車の幹線ルートとして北海道で生産される農産物等の重要な輸送ルートであることから、貨物列車については維持をするという方向で、国、北海道、JR北海道、JR貨物の4者が合意している。
旅客列車のあり方が今後の議論の争点となるが、道が主導する協議会において先に廃止の方針が決定された長万部―小樽間については、深刻化するバスドライバー不足に加え、本来は廃止の対象とはならない輸送密度が2000人を超える余市―小樽間の廃止まで決めてしまったことから、バス転換協議が泥沼化し中断に追い込まれたことは2023年11月7日付記事(北海道新幹線「並行在来線」バス転換協議が中断へ)で詳しく触れている。
しかし、道が協議会の場で沿線自治体に対して提案した内容は、全路線を鉄道路線として維持した場合には30年間で744億円の赤字が生じるのに対して、函館―新函館北斗間のみを残してバス転換した場合には391億円の赤字。さらに、全路線のバス転換だと106億円の赤字で済むという試算だった。バス転換のルートについて道は、函館―新函館北斗、函館・新函館北斗―森、函館・新函館北斗―鹿部、鹿部―森、森―長万部の5つのルートとすることを想定。存廃の最終判断を2025年度中に行い、函館バスとの協議に入るというものだった。
赤字を膨らませる「印象操作」
30年分の赤字額を提示するのは、鉄道の赤字額がいかに膨大であるのかという印象操作を行う道のいつもの手法である。また、道の試算については、鉄道の経費を過剰に見積もっているとの有識者からの指摘もある。今回も費用便益分析などの多面的な評価は行われず、協議の場に函館バスは呼ばれていない。なお、函館バスでは深刻な労使紛争を抱えているうえに、ドライバー不足の影響などからほかのバス会社と共同運行している函館―札幌間を結ぶ高速はこだて号の便数半減を行っている。
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