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北海道が提案、函館「新幹線アクセス線廃止」の愚 運転手不足なのに4000人超をバスで運べる?

東洋経済オンライン / 2024年9月10日 7時30分

道がバス転換を提案した函館―長万部間のうち、函館―新函館北斗間は、函館市中心部と北海道新幹線の新函館北斗間のアクセス路線として機能しており、輸送密度は4000人を超える。さらに函館市が函館駅までの新幹線の乗り入れを視野に調査を進めている区間でもある。並行在来線のうち先に廃止の方針を決めた長万部―小樽間については沿線のバス会社が代替バスの引き受けが困難だとして協議が中断に追い込まれた。函館―新函館北斗間の輸送密度は、このうちの余市―小樽間の輸送密度2000人をはるかに超え、函館―長万部間全線のバス転換が現実的ではないことは明らかだ。

ある地域関係者は「職員の無駄な労力と人件費をかけて意味不明な提案を沿線自治体に対して行う道の仕事ぶりは完全な税金の無駄遣い。北海道民を愚弄している」と怒りをあらわにする。

2022年3月に後志ブロック会議で廃止の方針を決めた長万部―小樽間については、協議を主導した道がバス会社との相談を始めようとしたのは同区間の廃止の方針を決めてから1年以上が経過した2023年5月となってからのことだったことが、筆者が番組監修を担当したBSフジ・サンデードキュメンタリー「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」番組内での北海道交通政策局・小林達也並行在来線担当課長へのインタビューで明らかにされた。さらに小林課長は並行在来線の鉄道としての維持について「財政的な負担」であると述べ、廃線は決まったこととしてバス転換以外の選択肢は一切排除する姿勢だということも浮き彫りにした。

番組内では、沿線にバス路線網を展開する北海道中央バスについても取材を実施。特に輸送密度の多い余市―小樽間をバスに転換した場合、通勤通学の時間帯に十数台のバスとドライバーの手配が必要になるが、これが可能なのかとの質問を行ったところ「無理だ」と回答している。

その後、後志ブロック会議は1年以上に渡って協議が中断する異常事態が続いていたが、2024年8月28日に1年3カ月ぶりに開催された会議では、はじめて北海道中央バス、ニセコバス、道南バスの3社が呼ばれ道側が運行本数など鉄道代替バスの内容を説明。説明を受けた3社はいずれも既存のバス路線を維持するだけで手いっぱいの状態で、道が提案した鉄道代替バスの本数の確保は一様に困難であるとの姿勢を示した。

バスでは「積み残し」が出る

そのような中で、バスの現場関係者からは「せめて倶知安までは鉄道を残してほしいのが本音です」という声が漏れ聞こえてくる。今や国際的なリゾートエリアとなった倶知安駅を中心とするニセコエリアは、冬季間は例年大変な混雑状況となり、リゾートエリアまでバスを利用する観光客も多い。特に「外国人観光客は、大型のキャリーケースを持って移動することから、定員70人のバスではどんなに詰め込んでも35人程度しか乗せられない現状がある」という。

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