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「最後の1人まで」イスラエルで続く解放の祈り 訪日した元人質、ノア・アルガマニさんの証言

東洋経済オンライン / 2024年9月10日 9時0分

アルカディさんの証言によると、監禁されていたトンネル内で祈りを捧げることは許されたという。食料は毎日与えられるわけではなかった。眠りから覚めて座り、そして祈る。そしてまた眠る。

昼も夜も区別できない中、いつ助けが来るのか、あるいはこのまま死んでしまうのか、筆舌に尽くしがたい日々を過ごしたことは想像に難くない。

救出作戦の詳細に関しては、機密事項も含まれるため、公式に語られることはない。今も監禁されている人質の安全にも関わるからである。1つ言えることは、ハマスのトンネル内にいた人質が救出されたのは、これが初めての事例ということだ。

この作戦は、シャバク(イスラエル総保安庁)、IDFのシャイェテット13、ヤハロムなどの特殊部隊が協力して実施された。救出される2週間ほど前、トンネルの向こうから掘削する音が聞こえてきたとアルカディさんは証言している。それは、特殊部隊がトンネルを探索する音だった。

それを聞いた見張りのテロリストらは、アルカディさんを残して逃亡した。その場で射殺することはせず、アルカディさんの周りに爆弾を仕掛けて立ち去ったという。

救出部隊が来たところで爆発させ、兵士も巻き添えにするつもりだったのだろう。結果的に、アルカディさんは無事に保護された。救出部隊がテロリストと出くわし、交戦することもなかった。

「私にとって最も重要なのは、残りの人質の解放です」。アルカディさんは、家族との再会を果たして安堵する中で、こう強調した。「私と同じように苦しんでいる人が、今もいるのです」。

先述の「アルノン作戦」では4人の人質が救出された。ノア・アルガマニさん(28)はそのうちの1人である。(「ハマスとの停戦めぐり揺れ動くイスラエル国民」参照)

ノアさんの父ヤコブさん(69)は2023年12月、人質解放を訴える使節団の1人としてイスラエルから訪日していた。そして2024年8月20~22日、今度は救出された娘ノアさんと一緒に来日した。日本政府のこれまでの支援に感謝するとともに、残る人質の解放支援を引き続き訴えるためだった。

アルガマニさん親子は、日本の上川陽子外相をはじめG7各国大使や日本イスラエル友好議員連盟、拉致議連の国会議員などと会談した。

筆者は、ほんの数時間だったが、訪日中のアルガマニさん親子に同行する機会を得た。彼らの訪日がほとんど報道されなかったのには、当事者にとって現在進行形のセンシティブな事案のため、マスコミに自制を要請したという背景がある。

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