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「最後の1人まで」イスラエルで続く解放の祈り 訪日した元人質、ノア・アルガマニさんの証言

東洋経済オンライン / 2024年9月10日 9時0分

ノアさんが無事に生還して真っ先に向かったのは、闘病中の母リオラさんのところだった。意識が朦朧とする中、8カ月ぶりに再会したノアさんの顔を見て、リオラさんの目は喜びに輝いたという。

ノアさんが生還した約3週間後、リオラさんは帰らぬ人となった。享年61だった。闘病しつつ拉致された娘をひたすら待ち続けていた母親の心情は、いかばかりだったろう。

ヤコブさんは、娘が帰ってきた喜びの一方、妻を亡くした喪失感にじっと耐えているようだった。それでもなお、今もガザで拉致されている同胞のため、愛娘を連れて遠く日本を再訪し、人質解放を訴えたのである。

囚われた人々の贖い

ヤコブさんは信仰の篤い人だった。日本ユダヤ教団のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)で行なわれた会の最後、ヤコブさんが自ら「人質解放の祈り」を捧げられたのが印象的だった。その祈りとは以下のような内容である。

私たちの神、私たちの先祖の神、主よ
私たちの同胞、イスラエルの家族、囚われ人のために
私たちの祈りを通してあなたの御心が成就し
彼らを強め、守り、保護してくださるように
祝福された聖なるお方が、彼らを憐れみで満たし
あらゆる困難と苦悩、疫病と病気から守ってくださるように
彼らの手で為されるすべての業に、祝福と幸運を送り
暗闇と死の陰から彼らを導き出し
速やかに家族のもとに帰らせてくださるように、アーメン
苦難の中にいる私たちの同胞
囚われているイスラエルの家族
海にいても陸にいても
神が彼らを憐れんでくださるように
苦難から安らぎに、暗黒から光に、奴隷状態から贖いに
速やかに導いてくださるように、アーメン

ユダヤ教には「ピドゥヨン・シュブイーム」(囚われた人々の贖い)と呼ばれる教えがある。同胞の解放のためには最大限の努力を尽くすという考えである。(「『囚われた人々』奪還へ突き動かすイスラエルの教え」参照)

上述の祈り以外にも、兵士の無事を願う祈りや負傷者のための祈りなど、苦難にある同胞のための祈りは数多く存在する。ユダヤ人に限らず、イスラエルに住むあらゆる民族は「イスラエルの家族」と見なされる。今回救出されたベドウィン男性のように。

拉致された無辜の市民が家族のもとへ帰還できるよう、最後の1人まで、筆者も願い祈るものである。

谷内 意咲:ミルトス代表

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