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「兵庫県知事」の言動に世間が覚えた違和感の正体 職員への異様な要求は"霞が関文化"の副産物か

東洋経済オンライン / 2024年9月10日 8時0分

自身も、上司の送別会をセッティングする際に「時間がないから、できたての状態で食事を手配しろ」と命じられ、役所から店まで歩いて時間を測り、上司の到着と同時に食事が出るように調整したという。「(上司との食事でさえも)こういったレベル感のロジが要求される。とくに政治家の動線はすごく気にして、想定外が起きるのを嫌がる」(松本氏)。

ロジを重視する風潮は総務省に限った話ではない。2022年には経済産業省で、当時の経産相向けに「お土産購入ロジ」などを含む出張時の対応マニュアルが作られていたことが話題になった。「お土産の購入量が非常に多いため、荷物持ち人員が必要」「生モノを購入することもあるため、保冷剤の購入および移動車内の冷房は必須」などの注意が記載されていた。

一面に報道が出ればすぐに“想定問答”

国民から選挙で選ばれた政治家の鶴の一声で、業務が左右されることも珍しくない官僚の世界。関係者からは、「上意下達の文化で、上が言うことで白も黒になる」「政治との関係で役人は従属的な立場になり、構造的にパワハラが起きやすい」といった声が上がる。「厳しい政治家を担当した秘書官が精神的に参るようなケースも多い」(中央省庁幹部)。

斎藤知事自身も、総務省で政務官の秘書官を務めた過去がある。知事の秘書像として、自身の経験が念頭にあるかと百条委で問われた斎藤知事は、「そういったところは正直ある」と打ち明けた。

メディア報道をめぐる情報を徹底的に共有するよう求める姿勢も特徴的だ。県職員のアンケート調査などでは、深夜や休日にも職員にチャットで指示を繰り返していたことが判明。県施設の長期休館を報道で知った斎藤知事が「聞いていない。なぜ報告がないのか」といった怒りのメッセージを深夜に送り、職員が早朝から説明に追われた事例があった。

「とにかく(新聞の)一面に報道が出た場合は、すぐに想定問答を作り、大臣室なりいろんなところに入れていくのが、私が約20年間中央省庁などでやってきた徹底的な仕事の仕方だった。記者会見で聞かれたときのために、大臣や政治回りに情報を伝えることは、官邸、総務省でずっと叩き込まれてきた」。斎藤知事は百条委で、そう証言した。

「(職員に)いろんな報告、連絡、相談は、ちゃんとやってほしかった」と、淡々と振り返った斎藤知事。ある総務省幹部は「霞が関のスピード感でずっと仕事をしてきた知事の立場からすると、兵庫県の職員に物足りなさを感じる部分もあったのかもしれない」と推測する。

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