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ベールを脱いだ新iPhoneが示す「AI戦略」の強み プライバシー重視で差別化、エンゲージメント狙う

東洋経済オンライン / 2024年9月10日 20時30分

iPhone 16はApple Intelligenceとハードウェア的に統合された最初のモデルとなる(写真:アップル)

2024年9月9日のアップル新製品発表イベントは、AI時代におけるiPhoneの進化と同社の戦略的方向性を鮮明に示している。

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以前のコラムでも指摘したように、アップルにとって毎年の大きなテーマは“最新世代のiPhone”比率を高めることだ。

旧モデルの価格を下げてミドルレンジに投入したり、ベースラインモデルの性能や体験、機能をコントロールしたSEモデルを数年ごとにリフレッシュし、iPhoneからの離脱を防いでいるが、近年は年間トータルでの最新世代iPhoneの販売比率低下に悩んでいる。

Apple Intelligenceを中心に据えて開発

今年の発表では、6月に発表されていた新しいAI機能「Apple Intelligence」を、どのようにしてラインナップ全体の付加価値向上に組み込むかに注目をしていたが、アップルは発表イベントにおいて新しいiPhoneを「Apple Intelligenceを中心に据えて開発した」と表現していた。

iPhone 11以降の世代でiPhone戦略を牽引してきたカメラの進化を止めるというわけではない。しかし、今後の進化軸としてアップルは“AIの独自進化”を大きなテーマとして捉えiPhoneの魅力を支える柱にしようとしている。

そしてApple Intelligenceには、他社には真似しにくい独自性の高さもある。

スマートフォンのあり方を再定義する大規模言語モデルを用いたAIサービスは、当然ながらアップルだけのものではない。では、AI機能がなぜアップルにとっての戦略の中心になるのだろうか? そこに大きな疑問を持っている読者もいるだろう。

しかし、Apple Intelligenceは、“スマートフォンのあり方”を再定義するほどに大きなインパクトがある。

例えば、スマートフォンに対して何か質問をするだけであれば、iPhoneの中にChatGPTやClaudeのアプリを入れればいい。端末のシステムと統合したいのであれば、iOSがChatGPTを呼び出すように、あるいはAndroidがGeminiを活用するように、システム内でAIサービスを呼び出せばいい。

「iPhone 16/16 Proは、Apple Intelligenceをどのように組み込むかを意識して設計された、はじめてのiPhone」とアップルが紹介したのは何故か? それは、Apple Intelligenceがライバルが追いつけないほどの価値を持っているからだ。

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