父を難病で失った息子が始めた「ありえない商売」 誰も思いつかなかった「幸せな人生」の見つけ方
東洋経済オンライン / 2024年9月11日 9時0分
ある余命数年の患者は、死ぬこと以上に、あとに残す家族が苦しいときに力になることができないことのほうが苦しいと語る。その患者は余命短い中、それぞれの人生の節目に読んでもらおうと、家族に宛てて手紙を書くことにした。患者が家族にメッセージを残すという行動は、今では医療機関で緩和ケアとして採用されている。
UCLAのビジネススクールで教鞭をとる心理学者のハル・ハーシュフィールド氏は、彼の著作『「未来」から逆算する生き方』において、どんな人も未来を起点にこれからの人生を考えていくと、今現在の人生がますます充実すると語る。彼の研究の結論は「未来から人生を考えると、生き方が変わる」ということだ。
闘病中に口述筆記で手紙を書いていた父
アルネ・ヨハンセンは32歳のときに「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と診断された。体の筋肉がやせ、力が入らなくなっていく病気だ。余命はわずか数年。
【写真を見る】人生の「先延ばし問題」に対処する画期的な1冊!
4人の子どもの父親で、地域で積極的に活動し、子どもが所属するスポーツチームのコーチでもあった。診断時、一番年上の子ライアンは11歳だった。
ライアンと父親は多くの時間をともに過ごしていたが、ライアンは父が告知の直後からタイプライターで毎日何時間も手紙を書くようになったことに気がついていた。運動機能が衰えると(病気の進行は早かった)キーを打つのが難しくなる。1990年代初期はまだ口述筆記の技術が開発されていなかった。
やがてそうした機器を使ってもキーを打つことができなくなった。アルネの病は進行の一途をたどり、家族は看護師を自宅に雇う。アルネは看護師に口述筆記してもらい手紙を書き続けた。
ライアンは毎朝、父の様子を確認してから学校やサッカーの練習に行っていた。告知から約3年が経ったある日、ライアンは父が「旅立った」ことを知る。
危険な現場に配属されて浮かんだプラン
現在、サンフランシスコの南の小さな街、サンブルーノで警察署長を務めるライアンは、タフなメンタルを持つ男だが、あの瞬間は大きなショックを受けたと語る。
「誰でもそうだと思うのですが、父親の死を目の当たりにしたときのことは、一生忘れないでしょう」
ライアンが心を痛め、もっとも鮮明に記憶したのは、父の死ではなかった。
亡くなった父を発見したライアンは、すぐさま母親に伝えた。10分ほど経つと母は彼に1通の茶封筒を手渡した。それはアルネからの短い手紙だった。他のきょうだいや母でなく、自分だけに宛てられた手紙。それは短い一節ながら、父親が息子に対して渾身の力を振り絞って書いたものだ。
この記事に関連するニュース
-
手の施しようない患者が「これが僕の人生」と笑顔で死にゆく…それを「きれいだ」と感じた東大卒医師が貫く信念
プレジデントオンライン / 2025年1月13日 10時15分
-
「身近な死」の瞬間を映像にした作品が伝えたい事 人は死をどのように受け入れ最期を迎えるのか
東洋経済オンライン / 2025年1月11日 8時15分
-
初潮を迎えた日から、父は何度もレイプし、母は傍観した…実父の性加害を顔出し実名で告発し続ける理由【2024下半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2025年1月3日 7時15分
-
福岡の「おひとり様の終活」に視察が相次ぐ背景 福岡市社協が自分らしい最期のためのサポート
東洋経済オンライン / 2024年12月25日 10時30分
-
先達たちの闘病記から学んだ癌と共に生きる意味
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月19日 12時23分
ランキング
-
1「来週会合で利上げ判断」=米新政権政策、賃上げ注視―植田日銀総裁
時事通信 / 2025年1月15日 16時8分
-
21時間半の山越えバスが“タダ”!? 岐阜山間部の2大都市を結ぶ無料シャトルバス運行
乗りものニュース / 2025年1月15日 14時12分
-
3「大株主として激怒」中居正広さんトラブル報道で“物言う株主”がフジテレビ側に第三者委員会の調査求める
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月15日 18時2分
-
4《三菱UFJ銀行》10億円を奪った元行員・今村由香理(46)の夫は“4.5億円資産家”だった 駐車場収入も「奥さんが徴収に来ていましたよ」
文春オンライン / 2025年1月15日 16時0分
-
5裏切られた気持ちでいっぱいです…月収25万円・65歳サラリーマン、毎年「ねんきん定期便」を必ずチェック、年金月19万円のはずが「初めての年金振込日」に知った衝撃事実に撃沈
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月15日 8時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください