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もし月がないと「地球の環境」はどこまで過酷に? 今の3倍の速さで自転し、天候も大荒れになる

東洋経済オンライン / 2024年9月12日 17時0分

もっと身近なところで考えると、満月の夜は月明かりを感じて少し明るい夜を過ごせますが、月がなければ夜は今よりずっと暗くなるはずです。

月を詠んで楽しんだり、月を眺めて寂しくなったりすることもないのです。このように、月があるからこそ、私たちはさまざまな恩恵を受けられ、地球上で穏やかに暮らせているのです。

月での暮らしはどんなイメージか

地球から月までの平均距離は約38万㎞。月面に人類最初の一歩を記した「アポロ11号」は、地球を発ってから月に着くまでに4日と6時間かかりました。

月の重力は、地球上の重力の約6分の1。単純に計算すれば、体重60㎏の大人が10㎏になる計算です。しかし、重い宇宙服を着ているのと、小さすぎる重力のもとでは歩くのは決して楽ではありません。アポロ計画で月面に降り立った宇宙飛行士の映像では、何かを拾おうとしては簡単にこけてしまう様子なども見られます。宇宙飛行士たちは、月では小さく飛び跳ねるように歩いていたようです。

また月面には、地球上の砂浜の砂よりもずっと細かい月の砂「レゴリス」があります。この砂は、岩石の粒子や小天体の衝突によって生成したガラスを含む粉末などから成っています。レゴリスは、静電気によって宇宙服や観測機器などにくっつく、少々やっかいな存在でもあります。

さらに、月に太陽の光が当たる昼間の温度は110度まで上がり、一方で日が当たらなくなる夜にはマイナス170度まで下がります。昼と夜の温度差は約300度。このような温度差ができるのは、月には地球にあるような大気がほとんどないからです。大気がほとんどないため、月では真昼でも空は真っ暗です。

このように、地球とはまったく異なる環境ですが、いつか人類が月に住むときがくるかもしれません。

魅惑的な世界

2022年、NASAの国際宇宙探査計画「アルテミス計画」(2026年以降に月面に人類を送って月での持続的な活動を目指す)の最初のミッション「アルテミスI」が成功しました。月の軌道には、新たな宇宙ステーションとなる「ゲートウェイ」も建設予定です。日本のJAXAも居住棟の技術提供を担当しています。さらにNASAはアポロ計画以来、約50年ぶりに月面に人類を送る計画を進めています。

再び月面へと向かう人類ですが、月にはいったいどのような魅力があるのでしょうか。

まず一つは、エネルギー源として期待される「ヘリウム3」という物質の存在です。ヘリウム3は大きなエネルギーを生み出す核融合反応の材料になります。地球上にはほとんどありませんが、月の土壌には数十万tあると推定されています。磁場によって守られている地球とは異なり、磁場の弱い月には太陽から吹き出す太陽風によって大量のヘリウム3が運ばれているのです。このヘリウム3が1万tあれば、全人類の100年分のエネルギーが賄えるとも言われているのです。ただし、ヘリウム3を取り出すには、大量に月の砂を処理する必要があり、さらに高度な核融合技術も必要なため、実用化はまだずっと先になりそうです。

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