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「マジモバ」でドン・キホーテが示す格安SIMの個性 異業種コラボで市場は新たな展開を見せている

東洋経済オンライン / 2024年9月13日 21時30分

サービスの申し込みは2024年9月13日からウェブサイトで開始される。実店舗での展開については、MEGAドン・キホーテ三郷店(埼玉県)とMEGAドン・キホーテ成増店(東京都)が先行して9月13日から特設カウンターを設置し、申し込みからサービス開始までの対応を行う。その後、10月7日からは他の一部店舗でも取り扱いを開始する予定だ。PPIHは当面、月間3000件の契約を目標としている。

顧客接点の獲得が主な目的

今回のサービスは、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)のサービスとして展開される。MVNOとは、大手携帯キャリアから回線を借り受けて通信サービスを提供する事業者のことを指す。その中でも、大手キャリアよりも安価な料金プランを提供するMVNOのサービスは一般に「格安SIM」と呼ばれている。

PPIHは、MVNO事業者であるエックスモバイルと提携してこのサービスを展開する。ここで重要なのは、PPIHが直接MVNOとして参入するわけではないという点だ。

エックスモバイルが通信サービスの提供や技術面を担当し、PPIHは「マジモバ」というブランド名でサービスを企画し、自社の店舗やウェブサイトで販売する。つまり、PPIHは通信事業者としてではなく、自社顧客向けの新たなサービスとして「マジモバ」を展開するのだ。

このアプローチは、通信業界への本格参入というよりは、PPIHのアプリ「majica」ユーザー向けの顧客サービスの一環としての位置づけだ。PPIHの上席執行役員、森谷氏は「利益重視の新事業ではなく、お客様との継続的な接点を作り出すためのCRMの装置と捉えている」と説明している。

小売業ではイオンモバイルが自社でMVNOとして展開し、スマホと回線を販売している例もあるが、PPIHはそこまで踏み込まず、サービス運営はエックスモバイルに委託する形で行われている。

格安SIM事業は、収益性の面で課題を抱えている。その主な理由として、大手キャリアから回線を借りる仕入れコストの高さが挙げられる。この費用は年々逓減傾向にあるものの、依然として収益を圧迫する要因となっている。

加えて、格安SIM市場は激しい価格競争に陥りやすく、顧客獲得のために常に低価格を維持する必要があるため、結果として利益率が低くなる傾向にある。さらに、自社で通信インフラを持たないため、サービスの差別化が難しい点も課題だ。品質向上や独自の付加価値をつけにくく、価格以外での競争力を持ちづらい状況にある。

既存ビジネスと連携するMVNOが生き残る?

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