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「マジモバ」でドン・キホーテが示す格安SIMの個性 異業種コラボで市場は新たな展開を見せている

東洋経済オンライン / 2024年9月13日 21時30分

PPIHの今回の動きは、小売業界における新たな顧客獲得戦略の一つとして注目される。通信サービスという新たな切り口で顧客との接点を増やし、既存の小売事業とのシナジーを模索する試みだ。一方で、格安SIM市場の厳しい競争環境や収益性の課題を踏まえると自然なアプローチと言えそうだ。

この「既存事業と連携したMVNO戦略」は、実はPPIHに限った動きではない。旅行業界大手のHISグループも、同様の取り組みを始めている。HIS mobileは9月5日、新たなプランを発表した。このプランは、単なる通信サービスの提供にとどまらず、HISグループの強みを活かした特典を付与することで差別化を図っている。

具体的には、ハワイのトロリー乗り放題パスの無料提供など、MVNOの月額料金以上の価値があるサービスを特典として用意しているのが特徴だ。これは、HISグループが既に保有している観光資源やサービスを、新たな形で顧客に提供する試みと言える。HISモバイルは、こうした戦略を通じてHISグループの新たな顧客接点を生むMVNOとして、事業を加速しようとしている。

将来的には、HISモバイルのユーザー限定で、通常より安価に観光サービスを提供するなど、新たな顧客接点として活用したい考えだ。旅行と小売りと業界は異なるものの、既存事業とMVNOを連携させ、新たな顧客価値を創出しようとする戦略は似通っている。

このように、既存ビジネスと連携するMVNOの登場は、通信業界だけでなく、小売や旅行など他の業界にも波及し始めている。今後、こうした異業種からのMVNO参入がさらに増加し、業界の構造を変える可能性もある。通信事業者としての収益性よりも、本業とのシナジーを重視する“異業種MVNO”は、格安SIM市場の競争環境を大きく変化させる要因となりそうだ。

石井 徹:モバイル・ITライター

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