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子どもの部活やスポーツはどこまで頑張らせる? 「勝利至上主義」の世界で生きる子を支えるには

東洋経済オンライン / 2024年9月14日 9時0分

恐らくこの親は“できる人”で、次にすべき行動にすぐ気づいてしまうのだと思います。そして子どもへの期待が高いからこそ、親自身が思う「こうあってほしい」を望むのでしょう。

質問に対して私は、「実は、見えないところでやっているのではないでしょうか」と回答しました。子ども自身が必要だと思う場面ではちゃんと動いているはずで、その主体的に動いた部分に価値があると思います。なかなか時間が取れないですが、本来であれば、子どもが自ら取った行動の意図を、落ちついて聞いて理解してあげたいところです。

実はこれはスポーツでも同じです。試合で指導者のサインプレーに背いたら、ほとんどの場合は叱られるでしょう。しかしここで、自分で判断して動いた理由をしっかり聞けば、その子の個性がよくわかります。子ども自身を認めてそのプロセスをも認めることで、子どもの主体性が育まれるのではないかと常々思うのです。

企業では、学生時代に運動部で活躍した人を好んで採用する傾向があります。上位下達や絶対服従の世界でやってきた人が出世していくとなれば、いつまでも価値観は変わらないでしょう。これがいろいろな企業で、しかも大企業で起きると、社会や日本の価値観にもなっていきます。

こうした中では自分の意見を考える時間がなくなり、上司の正解や顔色を探って正解を探してしまうと危惧しています。体育会系の社会を作りあげてきたのもスポーツですが、私はそれを変えるのもスポーツだと思っています。

──その他にはどのような悩みがありますか。

ベンチ入りできない部員の親から、「子どもの練習のモチベーションが下がり、『試合にも出られないのに練習をする意味がわからない』と部活を休んでしまう」という相談もありました。これは、部活動の環境に問題があると思いました。指導者がレギュラーとそれ以外をはっきり区別しているのでしょう。部活動には参加の強制力が高いものもあるので、生徒が楽しめているかどうかが重要だと思います。親としては、部活動以外に子どもが楽しめることを聞く時間の余裕があるとさらによいでしょう。

スポーツはまだまだ勝利至上主義や成果至上主義で、試合に出られるかどうか、活躍できるかどうかなど、目に見えるパフォーマンスに力を注いでしまうものです。子どもも親の期待に応えたいと考えてしまうものでしょう。しかし、もっと長い目で、そのスポーツを生涯楽しめるか、友達づくりや健康づくりになっているかと考えられるとよりよいはずです。

子どもに「あえて何もしない」勇気を持つ

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