ハマってからではもう遅い「相続の落とし穴」4つ 「心情的な原因」でこじれてしまうことも多い
東洋経済オンライン / 2024年9月14日 7時0分
そのため、通帳や届出印、キャッシュカードなどを預かった時期について、被相続人にメモを作成してもらう、日記やスケジュール帳などに記載しておくなど、証拠を残しておく必要があります。
また、被相続人に付き添って金融機関へ行き、出金することもあるでしょう。金融機関の窓口で出金する場合、払戻請求書に記入しますが、この際に可能な限り被相続人に記入してもらいます。
金融機関によっては払戻請求書の写しを提供してもらえるため、もし「勝手に出金した」と主張されても、被相続人の筆跡のある払戻請求書があれば説明しやすくなります。ATMで出金する場合は、被相続人の通帳や日記などに記入してもらうなどの方法を検討するといいでしょう。
お金の使途を説明できないと、被相続人のために支出したと認められない可能性があります。そこで、領収書やレシートなどの資料をノートに貼るなどして、できる限り保存しておきましょう。冠婚葬祭の際の出費など領収書やレシートのないものについても、日記やスケジュール帳、ノートなどに記載しておくことが望ましいです。
相続人がATMで出金してきて、払戻金を被相続人に手渡すというケースもあります。その場合は払戻金の使途を知らないこともあるでしょうが、出金額が大きいときはこれが落とし穴になることもあるので、被相続人から使途を確認して記録しておきましょう。
被相続人が日ごろの世話に対する感謝の気持ちとして、贈与するケースもあります。親族間で契約書を作成することはあまりないと思われますが、被相続人にエンディングノートへ記載してもらうなどして、贈与を証拠化することが重要です。また、贈与と認められても特別受益として持戻しの対象とされる可能性があるので、持戻し免除をしてもらえるよう、被相続人に確認しておくことをおすすめします(民法903条3項)。
生命保険金も遺産になる場合がある?
Q.相続税対策をしながら遺産を長男に多く渡すため、預貯金2000万円のうち1500万円を生命保険に回し、その保険金の受取人を長男として指名した。これで預貯金の残り500万円だけが遺産分割の対象となり、この500万円を長男を含む相続人全員で法定相続分に従って分割することになるはずだが……。
A.遺産に対して生命保険金の比率が不自然に高い場合、例外的に生命保険金も特別受益になることがあります。
このように生命保険を利用することで、被相続人は特定の相続人が有利になるよう遺産を分配することが可能となりますが、遺産分割の際の不公平感やトラブルの原因となることもあります。
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