一条天皇の最期「定子と彰子」誰に想いを残したか 死ぬ間際に読んだ和歌にある「君」は誰なのか
東洋経済オンライン / 2024年9月15日 7時0分
NHK大河ドラマ「光る君へ」がスタートして、平安時代にスポットライトがあたっている。世界最古の長編物語の一つである『源氏物語』の作者として知られる、紫式部。誰もがその名を知りながらも、どんな人生を送ったかは意外と知られていない。紫式部が『源氏物語』を書くきっかけをつくったのが、藤原道長である。紫式部と藤原道長、そして二人を取り巻く人間関係はどのようなものだったのか。平安時代を生きる人々の暮らしや価値観なども合わせて、この連載で解説を行っていきたい。連載第36回は一条天皇が最期に詠んだ和歌に残された謎について解説する。
著者フォローをすると、連載の新しい記事が公開されたときにお知らせメールが届きます。
「定子を愛した一条天皇」を愛した彰子
自分以外の誰かに気持ちがある人に振り向いてもらうのは、簡単なことではない。
【写真】一条天皇が最期に詠んだ和歌。どちらの中宮に想いを寄せたのか。写真は一条天皇の陵
藤原道隆の長女・藤原定子と、藤原道長の長女・藤原彰子は「一条天皇の寵愛を受けて、子どもを授かること」を使命として親に送り込まれた……という点では同じである。
2人の大きな違いは、彰子の場合、自分が入内したときには、すでに一条天皇には、最愛の人がほかにいたということだ。
正暦元(990)年、一条天皇は11歳で元服。数日後に道隆の娘で15歳の定子が入内することになる。兼家が出家し、道隆が関白、次いで摂政となったのは、この数か月後のことだ。まさに道隆が絶頂期を迎えるなか、一条天皇と定子は出会い、距離を縮めていく。
そんな一条天皇と定子が出会った年に、道長の娘である彰子はどうしていたか。3歳になり、初めて袴をつける儀式「着袴の儀」が執り行われていた。
それから10年弱の時が流れて、彰子もまた一条天皇のもとに入内して、6日後に女御宣旨が下される。長保元(999)年11月7日のことだ。奇しくもこの日の早朝に、一条天皇と定子との間に、第1皇子となる敦康親王が生まれている。
このとき一条天皇は20歳、定子は23歳。一方、彰子は12歳にすぎず、定子が生んだ敦康親王の養母になるとは、本人はもちろん、誰も想像しなかっただろう。
養母として敦康親王を大切にした
一条天皇のもとに第1皇子が生まれたのは、喜ばしいことだったが、宮中には手放しで喜べない事情があった。
というのも、定子は兄・伊周の不祥事で出家した身だった。それにもかかわらず、定子を職御曹司(しきのみぞうし)にわざわざ移してまで、一条天皇が寵愛したことについて、宮中では不穏な空気が流れていた。藤原実資は『小右記』で「はなはだ稀有のことである」と苦言を呈している。ほかの公卿たちも同じ気持ちだったことだろう。
この記事に関連するニュース
-
大河「光る君へ」で描かれた"道長の死"のその後 摂関政治が終焉を迎え、院政の時代へと突入
東洋経済オンライン / 2024年12月29日 8時20分
-
藤原道長憎しのあまり、暴走し自滅した…ギリギリまで道長を追い詰めた定子の兄・伊周が迎えたあっけない最期【2024下半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2024年12月28日 7時15分
-
NHK大河はこの史実をどう描くのか…まだ幼い「定子の息子」に対して藤原道長が行ったひどすぎる仕打ち【2024下半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2024年12月28日 7時15分
-
藤原道長にいいように利用され、最後は天皇の座を奪われた…2人の中宮を持った一条天皇が迎えた悲しい最期【2024下半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2024年12月28日 7時15分
-
87歳で死去「道長の娘・彰子」及ぼす強大な影響力 藤原実資から「狂乱の極み」と批判されたことも
東洋経済オンライン / 2024年12月22日 8時30分
ランキング
-
1高齢者は「体重」が重要…標準を下回ると死亡リスクが急上昇
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
-
2芸能人なぜ呼び捨て?「日本語呼び方ルール」の謎 日鉄会長の「バイデン呼び」は実際に失礼なのか
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 9時20分
-
3天正遣欧使節・千々石ミゲルの墓、長崎県諫早市の文化財に…ミカン畑での墓石発見から20年
読売新聞 / 2025年1月15日 17時0分
-
4「室内寒暖差がつらい…」その要因と対策が明らかに! - 三菱電機が紹介
マイナビニュース / 2025年1月14日 16時10分
-
5スニーカーのインソールを変えるだけで「靴の機能は劇的にアップ」する。“初心者が買うべき”一足とは
日刊SPA! / 2025年1月15日 15時51分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください