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生成AI「使い手」の能力で大きな差が生まれる必然 AIで「人間は何もしなくていい」はあり得ない

東洋経済オンライン / 2024年9月16日 17時0分

生成AIに任せておけば人間は難しいことを考えなくていい、というのは間違いです(写真:Ushico / PIXTA)

AIの利用が進む昨今、ビジネス思考の基盤ともいえるロジカルシンキング(論理的思考)の必要性がますます高まっています。そこで本記事では、デロイト トーマツ コンサルティングで社員の人材開発に携わる望月安迪氏の著書『シン・ロジカルシンキング』から一部を抜粋、再編集し、生成AI時代に求められる考え方やスキルについて考えます。

【前記事】なぜロジカルシンキングのアップデートが必要か

生成AIの時代こそ「考える力」が欠かせない

生成AIの時代に人間が考える力をアップデートする必要はあるのか?と思うかもしれない。

【イラスト】生成AIの「質」を左右するものとは?

生成AIとは、人間がプロンプトと呼ばれる指示文を入力し、そこからAIが回答を出力してくれるというものだ。ChatGPTやClaudeをはじめとした生成AIが指示に対して即座に回答を生成するのを見ると、そう思えてしまうのも無理はない。

しかし、事実は逆だ。生成AIがさらに発展していく中であっても、使い手である人間側の考える力がボトルネックになり、次のような5つの問題が人間側に残ってくる。

① そもそも、どんな指示・問いをAIに与えればいいかわからない(指示不全)

② 指示文が粗雑になり、AIが生成するアウトプットの品質も悪くなる(品質劣化)

③ AIが提示した選択肢が正しいかどうかを自分で判定できない(判定不能)

④ (結果として)AIの提案に対して修正・改善・深掘りの介入ができない(介入不能)

⑤ アウトプット内容を自分で説明できず、責任を持って利用することもできない(利用不能)

これらに加えて、より原理的な問題がある。それは、周りの誰しもが同じ生成AIを使っている限り、そこから生まれ出る差は「使い手」である人間のほうで決まってしまうということだ。

同じラケットを使っていても、一般人とプロテニスプレイヤーでは雲泥の差がつくようなものだ。

差別化の源泉は生成AIを使いこなす人間の側にあり、だからこそ人間はもう何もしなくていい、ということは原理的にあり得ない。

「問い」はなぜ重要なのか

かつてアインシュタインは、「問い」について次の言葉を遺した。

「もしわたしがある問題を解決するのに1時間を与えられ、それが人生が変わるような大問題だとすると、そのうち55分は自分が正しい問いに答えているかどうかを確認することに費やすだろう」

問いはなぜこれほどに重要なのだろうか? それは、問いとは考えることそのものだからだ。

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