1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

通行無料も「トイレは有料」それどこの高速道路? ドイツ・オーストリア驚きの高速道路最前線

東洋経済オンライン / 2024年9月16日 11時0分

さて、ドイツは日本よりも少し狭い程度の国だが、国土のほぼ全域に稠密(ちゅうみつ)に高速道路網が張り巡らされている。

オーストリアの面積は8.4万km2と北海道とほぼ同じで、国全体にアルプスの山岳地帯が広がっているので、アウトバーンとそれに準じた高速道路網は総延長2200km程度と多くはない。しかし、主要都市の多くが高速道路で結ばれており、利便性は相当高い。

一方で、両国は世界でももっとも先進的な「環境大国」であり、人々の移動には鉄道が推奨されている。そのためか、少なくとも昼間は、高速道路を行き交う路線バス、つまり日本でいう「高速バス」はほとんど見なかった。

オーストリア連邦鉄道(OBB)は、国境を越える長距離列車の運行に積極的だ。2016年に廃止された夜行特急、シティナイトライン(CNL)の後継の運行を名乗り出たのもOBBであった。

また、両国とも中程度以上の都市には、必ずトラム(路面電車)や架線から電気を受けて走るトロリーバスが都市内の人々の移動を担っている。繁華街にはクルマは入れず、歩道とトラムのみ、というところを今回もかなり見た。

オーストリア第2の都市グラーツ、ロマンチック街道最古の都市であるドイツのアウクスブルク、ピルスナービールの発祥の地、チェコのピルゼンなどがそうである。

高速道路による収入を鉄道に充てる政策

驚くべきは、今年7月から3.5トン以上まで有料化の対象を拡大したドイツでは、増収分のおよそ半分を鉄道の改修等に使うと決まったことだ。慢性的な赤字に悩み、廃止も視野に入った路線が多い日本の地方の鉄道に、高速道路の収入を充てるなどという政策は、わが国では絶対といってよいほど実施できないであろう。

物流は高速道路、人々の移動は鉄道。もちろん飛行機も重要だが、「飛び恥(Flight Shame)」の掛け声のもと、鉄道と競合する短距離の航空路線を廃止し、移動を鉄道に委ねるという政策もフランスなどでは浸透している。

この夏、日本のみならず、世界各地で地球温暖化による猛暑、洪水、旱魃(かんばつ)が多発したが、人々の移動に使われる化石燃料をいかに抑えるか、そんなヨーロッパの苦闘が垣間見える夏の旅であった。

【写真】ドイツとオーストリアの高速道路を写真で振り返る

佐滝 剛弘:城西国際大学教授

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください