令和を生きる「40代の男性」求められる"強い覚悟" 「老境の一歩手前」と見なされた時代は終わった
東洋経済オンライン / 2024年9月18日 12時0分
ちなみに、妻のフネさんはフジテレビの公式サイトで「50ン歳」となっていました。ご高齢に見えてしまう2人ですが、当時としてはこれが一般的な50代の夫婦像だったということでしょう。
変化した「初老」という言葉に対する意識
そもそも「初老」という言葉は、奈良時代は40歳ぐらいのことを指していたと言いますし、しかも昭和に入ってもその概念はまだ残っていたようです。
たとえば、昭和16(1941)年に発表された太宰治の短編小説『風の便り』には、40代という年齢を強調した次のような一説が出てきます。
「私は先日の手紙に於いて、自分の事を四十ちかい、四十ちかいと何度も言って、もはや初老のやや落ち附いた生活人のように形容していた筈でありましたが、はっきり申し上げると三十八歳、けれども私は初老どころか、昨今やっと文学のにおいを嗅ぎはじめた少年に過ぎなかったのだという事を、いやになるほど、はっきり知らされました。」
また、昭和30(1955)年から読売新聞に連載され、翌31(1956)年に書籍化された石川達三のベストセラー小説『四十八歳の抵抗』では、損保会社に勤める48歳の主人公を初老の男性として描いています。
当時の一般的な定年は55歳でしたので、48歳の主人公は定年退職まであと7年の、いわば老境の一歩手前にいる頽齢期の男であるということです。
その後、時代とともに日本人の寿命も延び、「初老」という言葉に対する国民意識も変わりました。
NHK放送文化研究所が2010年に行った調査では、「初老という言い方は何歳くらいの人に対して使える言葉だと思いますか」との問いに対し、もっとも多かった答えが「60歳から」で42%を占めたそうです(2位が「50歳から」と「65歳から」でともに15%)。
それとともに寿命も延びました。厚労省が調べた平均寿命の年次推移をみると、昭和22(1947)年に50~54歳だった平均寿命は、令和4(2022)年には82~87歳となっています。日本人の寿命は75年で30年以上延びた計算になります。
この平均寿命が延びた背景には、医学の進歩や防疫対策の向上、公衆衛生の環境改善といったことが考えられるでしょう。
一方、「若く見える」というのはどういうことでしょうか。もちろん、老化の進み方には個人差がありますし、遺伝的な要素も大きいとは思いますが、社会制度や生活環境の変化も大きく関係しているように思えます。食生活の変化や、美容への関心の高まりも、大きな要因でしょう。
小津映画での「40代の未婚男」の描かれ方
この記事に関連するニュース
-
「年金50万円の壁」見直しで高齢社員の立場が激変 役職定年制やシニア社員制度は廃止の方向へ?
東洋経済オンライン / 2024年12月19日 10時30分
-
「低年収だから年金額も低い」老後も続く格差の現実…既に50代に突入した氷河期世代を救う方法はあるのか
プレジデントオンライン / 2024年12月14日 7時15分
-
年収380万円「氷河期ど真ん中」46歳会社員、不遇を受け入れて暮らしていたが…75歳父の病で事態が一変、思わず恨み節「試練が多すぎます」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月13日 11時45分
-
30代で婚活するなら妥協が必要?「年収2千万」を条件にした35歳女性が見た現実は(前編)
OTONA SALONE / 2024年12月7日 20時0分
-
職場で優遇されるのは若者とシニアばかり…働く40~50代が日本経済の「最大の被害者」であるワケ
プレジデントオンライン / 2024年11月26日 16時15分
ランキング
-
1管理職にならない選択が「普通」に? 「責任の重圧」「年収減の可能性も」…“なりたくない”リアルな理由とは
まいどなニュース / 2024年12月21日 20時32分
-
2「フレッシュネス」チキンに"もも肉"使うプライド クリスマス時期の「チキン難民」を狙う戦略
東洋経済オンライン / 2024年12月22日 9時0分
-
3ゴーン被告「日産の内部はパニック状態」「ホンダはこの取引に押し込まれた」
読売新聞 / 2024年12月21日 18時30分
-
4103万円の壁問題とともに浮上した106万円の壁撤廃は別の経済苦を生むか パート主婦「手取りも減るってことですよね」コンビニオーナー「スポットで働く人を増やすか」
NEWSポストセブン / 2024年12月22日 7時15分
-
5「青春18きっぷ」利用者に朗報!“豊橋ダッシュ” 解消へ 東海道線の乗り換え利便性が向上
乗りものニュース / 2024年12月22日 7時12分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください