令和を生きる「40代の男性」求められる"強い覚悟" 「老境の一歩手前」と見なされた時代は終わった
東洋経済オンライン / 2024年9月18日 12時0分
明治や大正の人が貫禄を持って見える別の理由として、昔は早い年齢で結婚する人が多かったというのも要因ではないでしょうか。
明治や大正の頃といえば、女性はおそらく20歳前後、男性なら25歳くらいであれば多くが結婚をしていたようですし、20代で所帯を持って、社会的な責任が大きくなれば、若くても顔つきや立ち居振る舞いは自ずと変わってくるものです。
さらに20代で子が生まれ、50代で孫ができ、夫婦ともどもお爺ちゃん、お婆ちゃんという立場になれば、存在感も増して人によっては老けてくることでしょう。となれば貫禄がついてくるのも当然かもしれません。
翻って令和の現代では、晩婚化や未婚化の進展で男も女も30代で独身という人はちっとも珍しくありません。
内閣府の調査によると、「配偶者も恋人もいない」人の割合が全世代で男女ともに2割以上となっており、特に20代の女性の約5割、男性の約7割が独身でかつ交際している相手もいないとのことなのです。
昭和26(1951)年に公開された小津安二郎監督の『麦秋』という映画作品では、原節子が演じる紀子という女性が、「28歳にもなって結婚しない」ことを、家族全員がやきもきするという状況が描かれています。
やがて、そんな紀子にも勤め先の専務さんの紹介で縁談話がやってきます。お相手は京大出身で紳士録にも載っている海外帰りのデキる社員。周囲は安堵するのですが、よくよく聞くと男性の年齢は数えで42歳(満40歳)。驚いた紀子の母は「それじゃ紀子がかわいそう」と困惑するのです。そんな母に向かい、笠智衆が演じる紀子の兄・康一は、「紀子だってもう若いとはいえない。こっちだってそう贅沢を言える身分じゃない」と憮然として説くのでした。
紀子は結局、兄の同僚の矢部という男と結婚することになるのですが、その際に紀子は兄嫁の史子に「ホント言うと、四十にもなって結婚もしないで1人でブラブラしている人って、あんまり信用できないの」と言うのです。
50代の独身世帯が珍しくない現代の価値観からすると隔世の感がありますが、昭和20(1945)年代ではこれが一般的な考え方でした。「28歳の女」「40歳の男」は社会的にそういう位置づけだったのです。
雇用環境の激変にさらされた「氷河期世代」の40代
昭和において40代の会社員というと、公私において20代から成功や失敗を積み重ね、仕事も一回りを覚えて経験値が増し、比較的安定した社会的ポジションを得られているというイメージです。
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