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社員ファースト?「部下が上司選択」アリかナシか 改めて考えたい「上司とは何か・部下とは何か」

東洋経済オンライン / 2024年9月18日 8時0分

(2)組織の不安定化

人気のある上司に部下が集中する一方で、不人気な上司のチームが縮小または消滅するリスクがある。当然組織のバランスが崩れ、業務運営が不安定になるだろう。

野球でたとえればわかりやすい。多くの人が「内野を守りたい」「外野は守りたくない」「キャッチャーはムリ」など言い始めたら、強いチームを維持できなくなるのと同じだ。

また、上司を部下が選択することで、本当に部下はやる気をアップさせられるのか? 成長するのか? 生産性を上げられるのか?という疑問もある。

ある部下のやる気が上司のせいで落ちていたのであれば、上司が変わることでストレスが減り、仕事に意欲的にもなるだろう。

一方、もともと仕事にそれほどやる気がなく、単に「今の上司が厳しいから違う上司のほうがいい」という理由であれば、当然上司が変わったところでやる気が高まるはずはない。ただ、部下のストレスが減るだけだ。

成長促進も同じである。部下自身に成長したい意欲があり、それに伴うテーマ、分野があれば、それに合った上司を選ぶことで成長促進につなげられるだろう。

生産性アップは典型的な例だ。現場で支援をしていると「たられば」を口にする社員によく遭遇する。

過去、「情報システムに入力する時間を減らしてくれれば、お客様との接点が増える」と言い張る営業に、入力作業を任せられるアシスタントをつけたことがある。しかし結果は同じ。また別の理由を持ち出して「時間がないからお客様との接点を増やせない」と言い訳をする。

反対の例もある。ある会社で「DXを推進してくれたら、もっと残業を減らせる」と問題提起した総務のメンバーたちがいた。そこで社長は大枚をはたいてDXを進めたが、いっこうに残業が減らず、それどころか生産性は落ちた。

これらは問題の箇所を正しく特定しなければ、生産性はアップできない、という典型例だ。

同様に、「上司を変えたら生産性が上がる」と考えるのは安易すぎる。生産性が上がらない原因が上司以外の要因なのに、それを特定せずに上司を変えてしまったら、単に部下のストレスが減るだけという結果になる。

リーダーとは何か? マネジャーとは何か?

上司選択制度については、「上司」と「部下」の定義をはっきりさせてから導入すべきだろう。そうでなければ「上司選択制度」に慣れた部下が、他社へ転職した際、組織にうまく馴染めなくなる可能性がある。

「上司」と「部下」の定義の前に、まずは「リーダー」「マネジャー」「メンバー」の違いについて考えてみよう。ちなみに私はリーダーとマネジャーを次のように定義し、明確に線引きしている。

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