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「日銀の利上げ」を評価する30代の本音は「ズルい」 金融緩和で資産価格が上昇、「運用氷河期」の不満

東洋経済オンライン / 2024年9月18日 8時0分

「30代が日銀の利上げを評価した」背景を特定するのは容易ではなさそうだが、あと半年ほどで大台に達するもののギリギリ30代の筆者にも心当たりがないわけではない。

例えば、筆者よりも少し下の世代からは「不動産価格が上がりすぎて家が買えない」「2010年代に家を買った世代はずるい」という声をよく聞く。

また、最近では「新NISAのパフォーマンスは良いのだが、もっと前から投資をしていた人はずるい」という声も聞いた。そもそも新NISAをきっかけとした投資ブームは将来不安による危機感が背景にある可能性があると、以前のコラムでも指摘したが(「新NISAで『貯蓄から投資へ』に『消費から投資』も?」)、そうだとすると世代間格差のような「負の感情」も生まれやすいだろう。

例えば、金融緩和による資産価格の上昇ペースが速すぎると、「出遅れた」という感覚を得やすいだろう。現在の不動産価格や株価が「上がりすぎ」かどうかは事後的にしかわからないが、人々の間でバブルと疑われるところまで上昇すれば、その価格上昇によって利益を得た人に対して「ずるい」(≒アンフェアな利益である)という感覚が生まれやすいのかもしれない。

経済的な豊さと幸福感の関係については、一般に所得が増えると幸福になる(幸福度が上がる)という関係があるが、このような関係が成り立たない例も数多く指摘されており「幸福のパラドクス」と言われている(この論点は以前のコラム「『大谷選手の活躍が誇らしい感覚』と幸せな賃上げ」で紹介した)。

このパラドクスの説明として、幸福感にとっては「準拠集団」に対する「自己」の「相対的評価」が重要であるという指摘がある。

「行きすぎた」資産価格上昇が招く世代間対立

前述した「日銀の利上げを評価した30代」についての考察で言えば、やや遅れて株式投資を始めた人にとっては、その人の運用パフォーマンスが高まるかどうかよりも、他の投資家よりも運用が上手くいっているかどうかが幸福度という観点からは重要かもしれない。

金融危機以降の株式市場の動きを考えると、手元流動性に乏しい若者世代よりも高齢世代の方が運用のパフォーマンスを改善させやすかったことは事実である(もちろん、結果論であるが)。

なお、このような考察をとある投資家に話したところ、「先にリスクを取った人が儲かるのは当たり前のことだからそんなのはワガママだ」という意見をもらった。筆者もそのように思うが、「ずるい」という感情は主観なので、間違っていると言っても仕方がない面もある。

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