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「日銀の利上げ」を評価する30代の本音は「ズルい」 金融緩和で資産価格が上昇、「運用氷河期」の不満

東洋経済オンライン / 2024年9月18日 8時0分

このような世代間対立を意識しているかどうかは不明だが、日銀の氷見野良三副総裁は8月28日の講演で「いわゆるゼロ金利制約に直面していた時代の金融政策の波及については、株価や為替相場や不動産価格といった資産価格の変動による経路の役割もそれなりに大きかったらしいことが窺われる」とし、こう分析した。

「資産価格をめぐる環境は変化し続けているわけですが、その中で、金融緩和の意味合いは変わっていったのか、変わらなかったのか。こうした問題を考えるためには、資産価格のコンテクストと金融政策の機能の仕方の関係について、さらに分析が必要ではないかと思います」

氷見野副総裁が言う「日経平均が8000円台まで低下、ドル円レートは70円台まで円高が進行、東京都区部を含め全国で地価変動率がマイナス、と、おそらく異常といってもいいような状況」から正常化することは、おそらくどの世代にも受け入れやすい。したがって、世代間対立は生じにくいだろう。

しかし、価格上昇が行きすぎて異常になれば、世代間対立のような問題につながる可能性はあるだろう。今回のコラムの問題意識と、氷見野副総裁の指摘はリンクしていると、筆者は考えている。

内田眞一日銀副総裁は8月7日の講演で「2013年からの大規模な金融緩和のもとで、政府の各種の施策などと相まって、景気が改善し、500万人を超える雇用が生まれました」とし、過去の金融政策の恩恵について「雇用の増加」を挙げた。多くのリフレ派が強調する効果である。

しかし、「雇用の増加」による賃金上昇の恩恵を最も受けているはずの20~30代が利上げを望んでいるとすれば、資産価格上昇の負の側面と合わせて評価を決めるべきかもしれない。

前述したように、それは若者世代のワガママなのかもしれないが、考えようによっては「就職氷河期」が労働市場版の世代間格差の問題だとすれば、資産市場における格差は「資産運用氷河期」と言えるのかもしれない。

買おうとしたら上がっていたマンション価格

考えてみれば、人々の将来の可処分所得は労働所得だけでなく、貯蓄の運用益によって決まる。「貯蓄から投資へ」が進む中で、労働所得の不公平さだけでなく、運用益の不公平にももっと注目が集まってもよいのかもしれない。

コロナ後のインフレ局面では消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く)で測った実質賃金の低下が問題視され、2024年は賃上げの定着で実質賃金が引き上がっていくという期待が高まっている。

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