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外国人材育成は日本人と変わらないというリアル 「この会社だから長く働きたい」に国籍は関係ない

東洋経済オンライン / 2024年9月18日 9時0分

これまで留学生ら多くの外国人と接してきた、前出の山岸弘忠部長は「個人の資質はあくまで人材・個人次第」と述べています。

技能実習生は制度上、決められた現場で基本的な作業を行うことが中心で、企業側にとっては利用が限定的かもしれません。しかし、人材によっては基礎を学び企業を理解できるという機会があり、一部批判もあるものの、企業としては安定した人材を3年間は確保できます。

一方で、特定技能者はさまざまな現場での作業や管理職への登用が可能で、適材適所への配置が行えますが、よい待遇や仕事環境を求めて他業種や企業への転職が可能です。そのため、「地方や中小企業、人気のない職種には不利」とも言われています。

前出のサベイウーさんのように、優秀な技能実習生を採用して基礎から管理者へと育て上げる取り組みは、技能実習制度と特定技能制度の両方を活用した理想的な外国人材の活用例と言えます。

これまで技能実習制度としての活用は最大5年間に限られ、育てた人材が活躍できるようになっても帰国しなければならないという制約がありました。しかし、2019年4月に新設された特定技能制度では、技能実習生として3年間を修了すれば、同じ職種であれば特定技能生へとビザの資格切り替えが可能で、5年間の就労が認められます。

基準を満たせばさらに5年の延長も可能です。日本政府の方針も、昨今の人手不足の中で優秀な外国人には長く日本に滞在してもらう方針に変わってきています。

優秀な外国人材は、同じ仕事をやり続けるよりも、キャリアアップの機会がある企業を求めるのが一般的です。

技能実習生からキャリアアップした先輩がいると、技能実習生らは単に基礎的な仕事をするだけでなく、将来的に管理者となる道があることを知り、仕事に対するモチベーションが高まり、さらなる成長を目指し、長く働くことを希望することにつながります。

また、キャリアアップの可能性があることは、新たに外国人材を採用する際にも魅力となり、より優秀な人材がその企業に応募してくるようになります。そういった機会がある環境は、企業と外国人、双方にメリットがある仕組みとなりえます。
 
ただ、こういった現実もあります。現場仕事を技能実習生に任せ、その管理を日本語も堪能な同じ国籍の高度人材に委ねるという考えを持つ企業も少なくありません。しかし、世界に比べれば身分格差が小さいと言われる日本社会と比べて、海外では日本人には理解しにくい身分差別が多く存在します。

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