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「苦手なこと」は克服するのではなく"回避する" 「恐怖」は人が生きていくために必要不可欠

東洋経済オンライン / 2024年9月20日 19時0分

無理になくそうとせず、回避するのも、恐怖症を克服する方法のひとつです(写真:Graphs/PIXTA)

こんにちは。メンタルアップマネージャ®の大野萌子です。

「電話が怖い」と思う方が、それを克服しようとすればするほど、泥沼にはまっていくことがあると思います。恐怖を感じるといった湧き上がる気持ちを抑え込もうとしても、かえってその存在が自分の中で大きくなり、余計に辛くなってしまうことはよくあることです。そのような場合には、どう対処したらよいのでしょうか。拙著『電話恐怖症』から、一部抜粋・再構成してお伝えします。

恐怖を回避する

電話恐怖症に限らないことですが、苦手を無理やり克服するのはかなり難易度の高いチャレンジになります。電話恐怖症の方が、いくつかの試みにチャレンジして、それでも恐怖がなくならないのなら、無理になくそうとせず、別の手だてで回避するのも、恐怖症を克服する方法のひとつです。

実は私は高いところが苦手で、飛行機に乗るのも恐怖です。ですから可能な限り、飛行機には乗らずに、別の交通手段で移動することで、その問題を解決しています。

ただ、身近な問題として長いエスカレーターには苦労していました。上りも下りもダメで、乗り降りするところを想像するだけで手に汗をかいてしまいます。ですから普段は、上下に大きく移動する際は、階段やエレベーターを使います。

最近は、どこもバリアフリー化しているので安心ですが、以前は新しく行く先のエスカレーターは必ずチェックし、長いものだとわかったら、エレベーターや階段の場所を検索してから行くことで難を逃れていました。

少々面倒ではありますが、もし高所恐怖症を治そうとしたら、ものすごく大変なことになりますし、努力しても、おそらく完全には治らない可能性のほうが高いでしょう。ですから私は逆らわずに、苦手なものを回避する方法を考えます。

電話恐怖症の方も、恐怖がなくせないのなら、回避する方法を考えておくといいでしょう。「電話はできないのですが、いつもSNSをチェックしているので、緊急のときはこちらにお願いします」でもいいし、「メールをいただければ10分以内に返信します」でもいいと思います。回避する方法の選択肢をいくつも持っていれば、無理やり電話にこだわらなくてすみます。

また、周囲に「電話が苦手です」ということを公言しておくのもいいでしょう。私も「長いエスカレーターには乗れません」と公言してあるので、みんながエスカレーターに乗るときに「私はエレベーターで行きます」と一人だけ別行動をしても、とくに問題は起きません。

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