認知症や急激な老化を呼ぶ免疫暴走が起こる真因 免疫が処理できないほど体内にゴミが溜まる恐怖
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 7時0分
疲労や衰えを急に強く感じるようになったり、病気や不調、痛みが突然悪化したり種類が増えたりした――。こうした方の体には、一般的な老化とは一線を画した老化現象が起きているおそれがあります。
じつは、このような急速な老化は、免疫の暴走から起きる現象です。輸血による C型肝炎感染撲滅に大きく貢献し、世界的な評価を得た医学博士・飯沼一茂さんは「倍速老化」と名づけました。
倍速老化の原因である免疫の暴走を生み出す要因の一つが、腸内環境の悪化によって体内にたまる老廃物(ゴミ)です。飯沼さんが今後、医学の主役と目される免疫の最新知見をまとめた新著『倍速老化』より一部抜粋、再構成してお届けします。
腸内環境が悪いと免疫暴走の原因「体内のゴミ」が急増
最大の免疫器官とも呼ばれる腸には、なんと人体の7割もの免疫細胞が集まっています。わずか数キログラムしかない腸に、なぜこれほどの量が集中したのでしょうか。それは食べ物という「体外にある正体不明の異物」を体内に取り込めるのが、腸だけだからです。
腸の内側を「体外」と認識する方は少ないかもしれません。しかし体外にある食べ物が入るのが口で、そこから肛門までが一本の管だと考えれば、その管の内側は「体外」とイメージしやすいのではないでしょうか。
食べ物は口、食道、胃を通過しますが、消化・吸収のほとんどが腸で行われます。生きるために不可欠な食べ物とはいえ「体外のものを取り込む」以上は外敵、つまり病原菌などまで取り込んでしまうリスクもゼロではない。腸は消化・吸収したものを血液に取り込み全身へと送り出す臓器ですから、いわば関所のようなもの。だから外敵をいち早く察知し攻撃する免疫細胞たちが集結しているのです。
これが健康な状態における腸で、いわゆる悪玉菌が優勢になるなどして腸内環境が悪くなると話は変わってきます。腸の表面にある粘膜が傷つき、細胞と細胞のあいだに「すき間」ができてしまうからです。これは体外と体内を分ける関所が破られたということにほかならない、じつにおそろしい状態です。いわゆる腸漏れ(リーキーガット症候群)で、病原菌などの外敵がどんどん体内に入り込むため、体内で悪さをするゴミが急増していきます。
では、どんな食生活が腸内環境を悪くするのでしょうか。真っ先に挙がるのが肉や脂っこい食材を多く摂る、食物繊維を摂らない、アルコールの摂取が多い、などです。耳が痛いという方も多いかもしれませんが、これらが常態化していると体内にゴミが増えて免疫細胞たちの仕事も増え、ますます免疫暴走を加速させることになります。
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