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認知症や急激な老化を呼ぶ免疫暴走が起こる真因 免疫が処理できないほど体内にゴミが溜まる恐怖

東洋経済オンライン / 2024年9月20日 7時0分

③不良品もまたゴミに。それが集まってさらには…

この不良品は、まさに体内のゴミに。分解できないから使い道もなく、ただただ溜まっていき、大きな塊をつくってしまう。こうなると攻撃免疫にも壊せません。しかも老化が進んだ攻撃免疫では、なおのこと歯が立たない。

タンパク質にはもともと水に溶ける性質があり、変に熱がかかるとグチャグチャのまま固まってしまいます。生卵は水に溶けても、熱して炒り卵にすると溶けませんよね。あのイメージです。この状態になると、もう体内では壊すことができず、どんどん蓄積されるようになっていきます。

その典型的な例が、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβというタンパク質です。アミロイドβは健常な人の脳内にも存在しますが、アルツハイマー患者の脳の血管には、アミロイドβ同士がさらにたくさんくっついて塊になった「アミロイド斑(老人斑)」が溜まっています。脳内に、炒り卵をガチガチに固めて巨大化したようなものがたくさん溜まった状態が、アルツハイマー型認知症なのだとお考えください。

④疲れた細胞自身もゴミに

疲れた細胞は不良品のタンパク質というゴミをつくるだけでなく、自身も働けなくなりゴミと化してしまいます。真面目に働いていた細胞も環境が悪いと、残念ながらこのような事態に陥るのです。もともと細胞は、加齢によって分裂速度が落ちるなどして老化していきますが、こうした周辺環境が重なると老化が加速してしまう。

老化した細胞からは炎症性サイトカインや「増殖因子」などが分泌されます。増殖因子とは老化細胞を生存させたり、炎症を促進したりするものです。たとえて言うなら腐臭のようなもので、これらは医学的には「細胞老化関連分泌形質(Senescence-Associated Secretory Phenotype =SASP)」と呼ばれています。

SASPが周辺の細胞までどんどん老化させていくのは、腐ったミカンが1つあると、まわりのミカンもどんどん腐っていくのと近いイメージです。

免疫暴走が脳にまで影響する

⑤暴走した免疫は全身を駆け巡る

こうして体内のゴミや、ゴミが生み出した新たなゴミによって、体内ではつねに炎症性サイトカインがバンバン出続けている状態になります。もう体中至るところで免疫暴走という地獄絵図が展開されていると思ってください。

さらにこれが怖いのは、暴走した免疫が全身を駆け巡ってしまう点です。血管という全身ネットワークで働く彼らは、行きたいところに行きたい放題。行く先々で新たな免疫暴走を生み出します。おそろしいことに、それは脳も例外ではないのです。

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