「令和のコメ騒動」不足解消でも楽観できない事情 人口減少社会で「農地改革」が進まない本当の理由
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 8時0分
コメの品薄が話題になっている中で、いまその原因についてさまざまな分析や検証が進んでいる。インバウンドの外国人によるコメの消費量が増えたとか、気候変動の影響などが指摘されているが、問題の本質は日本の農業政策そのものにある、という指摘も数多い。
地方の農家の数は、毎年すさまじい勢いで減少し続けており、耕作面積も年々確実に減少している。とりわけ、ロシアによるウクライナ侵攻以来、世界的な食料不足が叫ばれ、今や食料政策は軍事力同様に重要な防衛要因となっている。
そんな状況の中で、今年の5月に改正された「食料・農業・農村基本法」(以下、基本法)が注目されている。今後の日本の食料行政、農業行政に大きな影響を与える改正と言っていいだろう。にもかかわらず、マスコミではあまり注目されていない。日本の食料事情や農業行政の根幹に関わる大きなターニングポイントとなるのか……。基本法の概要と我々への影響を考える。
輸入頼りの食料政策から自給自足へ転換?
日本の農業が窮地に立たされていることはよく知られている。コメの品薄もその一端と言っていいだろう。今のところ今年のコメは豊作であり、深刻なコメ不足には至っていないものの、日本の農業政策は大きな軌道修正を求められていると言っても過言ではない。
実際に2000年の「基幹的農業従事者(専業農家)」は2000年には240万人いたのが、2023年には116万人に減少。農地面積も2023年は430万ヘクタールだが、ピーク時の1961年と比較すると約3割減少したことになる。
とりわけ、深刻なのが農業従事者の高齢化だ。75歳以上の基幹的農業従事者数は、2000年には全体の13%だったのが、2023年には36%に増加している。人口減少とともに進んできた地方の過疎化が、農業に深刻な影響を与えていると言っていいだろう。
耕地面積の利用率という面でも、430万ヘクタールのうち91%しか利用されていない。1割は放置されているのが現状だ。そんな状況の中で、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、日本の農業政策は大きな転換点を迎えている。食料自給率の低下を放置して、アメリカなどの食料輸出国から輸入すれば賄えるという基本方針が、ここにきて輸入だけでは賄い切れない現実が見えてきたからだ。
そんな状況の中で、今年5月に成立したのが日本の農業行政の憲法とも言われる「食料・農業・農村基本法」の改正だ。現代の時代に即したものにしようと、政府が戦後続けてきた政策を大きく転換させるものになろうとしている。ちなみに、今回の基本法改正に基づいた農業政策の指針となる基本計画作りを、2025年3月をめどに作成し閣議決定する予定になっている。
食料安保の強化目指した基本法改正?
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