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「令和のコメ騒動」不足解消でも楽観できない事情 人口減少社会で「農地改革」が進まない本当の理由

東洋経済オンライン / 2024年9月20日 8時0分

一方、同基本法の改正に合わせて6月に成立した「食料供給困難事態対策法」だが、政府が重要とする食料品や物資をあらかじめ指定し、世界的な不作などで供給が大きく減少した場合など、生産者に増産や備蓄を求めるという法律だ。いわば有事に備えた食料安全保障体制の整備と言っていいだろう。

今までにも食料の安全確保については、さまざまな政策が存在していたが、既存の体制だけでは対応しきれない事態に備えて、例えばコメや小麦、大豆、その他の植物油脂原料、畜産物、砂糖、といった物資を特定食料として指定し、有事の際には、事業者に対して出荷・販売の調整、輸入の促進、生産・製造の促進を要請することになっている。

この法律には罰則規定もあり、出荷販売業者や輸入業者、生産業者等に対して食料確保の「計画」を届け出る指示を出すことができる。届け出の指示に従わなかった場合には、罰金が科せられ、さらに立ち会い検査等によって特定食料等の在庫を把握することも可能だ。報告の拒否や拒否の報告をした場合にも過料が適用されることになっている。

罰則規定のある法律になったことで、有事の際の食料不足をコントロールする効果を発揮できそうだが、実際にそういう事態になってみないとわからない。重要なことは、これまで輸入だけで何とかなるとしていた政府が、ロシア・ウクライナ戦争などの地政学リスクや気候変動などに直面したことで、海外から食料や肥料、エネルギーが調達できない可能性が出てきたこと。

さらに、海外から輸入できたとしても、国内にすさまじいインフレをもたらす「超円安」が発生したときには、これまでのシステムでは国民を飢えさせてしまうことに気付いたことには高く評価すべきなのかもしれない。

国際的には高い評価の日本の食料安保?

日本の農業政策は、海外に比べれば、確かに食料自給率は低いものの、今回の「米騒動」のような事態はほとんどこれまでなかった。例えば、英誌エコノミストの調査部門であるエコノミスト・インパクトが2022年9月に発表した「食料安全保障指数(GFSI)」によると、日本は調査対象の113カ国の中で6位となっている。

食料安全保障指数は、食料安保という観点から価格の手頃さ、物理的な入手のしやすさ、品質・安全性、持続可能性、適応性といった項目で数値化したものだ。そのランキングを見ると、次のようになっている。

1、フィンランド
2、アイルランド
3、ノルウェー
4、フランス
5、オランダ
6、日本
7、スウェーデン
8、カナダ

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