1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

映画「ラストマイル」ヒットの鍵は"動画配信"戦略 「鬼滅の刃」が新たな映画化への道筋を作った

東洋経済オンライン / 2024年9月20日 10時0分

2020年10月、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』が公開され400億円を超えるスーパーヒットとなったことは記憶に新しい。コロナ禍で打撃を受けた映画館が、活気を取り戻し救われた。

このときのメディア戦略は斬新だった。製作委員会にキー局も映画会社も入らず、アニメ版のテレビ放送はキー局を軸とせずに独自に独立局、ローカル局の放送網を作り、放送と同時にあらゆる動画サービスで配信。漫画ファンを核にマスメディアを使わずに巨大なファン層を育成した。

ノーチェックだった私からすると、穏やかな水面が突如泡立ち、巨大な鯨が姿を現したような衝撃を受けたものだ。ローカル局での放送と同時に配信してヒットさせる戦略は、一昔前のマルチウィンドウ戦略(放送や劇場公開から間を置いてDVDや配信など2次利用に移る考え方)を完全に時代遅れにした。放送が不要になったわけではなく、放送と映画の間に配信をしっかり置くことでファンが急激に増殖した。動画配信の時代の新しい戦略が誕生した。

柳瀬氏の投稿を受けて、私は各配信サービスに「アンナチュラル」「MIU404」がどう置かれているかをチェックした。ものの見事に、TBSが提携するU-NEXTだけでなく、Netflix、Amazonプライムビデオ、Hulu、LeminoそしてTVerで配信されていた。しかも、どのサービスでも全話見ることができる! これこそまさに「鬼滅の刃」戦略だ。

私も『鬼滅の刃』の映画がヒットしたときに、Netflixでアニメ版を全話見て映画館に駆け込んだ。自分が馴染んだ接点で気軽に追いかけることができたから、後からでも「乗っかる」ことができたのだ。

『ラストマイル』ではこれに似た現象が、人それぞれの形で起こったようだ。

私は「アンナチュラル」は放送時にハマって全話見たが、「MIU404」は見そびれていた。『ラストマイル』を見た後、Netflixで「MIU404」を見始めたところだ。

知人の中学生の娘さんは「MIU404」は放送時に見て、「アンナチュラル」は配信で見た。そして『ラストマイル』を見た後でまた、配信で2つのドラマを何回も見て、映画は5回見ると宣言しているそうだ。

2つのドラマを放送時に見て、配信で何回も見てから『ラストマイル』を見て盛り上がっている熱烈的ファンもいる。一方で、放送で両方を全話見たが、配信は見ずに映画を見たら中途半端な「シェアード」だったことに冷めた見方をする人もいた。

配信が普及したタイミングで、格好の「映画の届け方」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください