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映画「ラストマイル」ヒットの鍵は"動画配信"戦略 「鬼滅の刃」が新たな映画化への道筋を作った

東洋経済オンライン / 2024年9月20日 10時0分

いずれにせよ、配信でドラマを全話見られることが、映画『ラストマイル』の観客の増幅装置になっている。今の話題の盛り上がりを見て、『鬼滅の刃』のときの私のようにドラマを配信で見て追いつこうとする人も、これから出てくるだろう。そう思うと、興行収入は前週よりあまり下がらずに高い水準をキープするかもしれない。

配信でドラマを見て気づいたのだが、1話だけ登場したキャラクターが『ラストマイル』に出ている。「MIU404」で高校生として出てきた少年が、『ラストマイル』では警察官の一員として働いていた。演じていた前田旺志郎という役者が好きなので、映画を観た後ドラマを見て気づいた。

そんな発見を、ドラマファンなら映画を見て即できただろうし、私のように後から気づく人もいるだろう。そんなふうに、映画と配信を往復することで何回も噛み締めることができ、映画をもう一度見たくなってしまう。

私は、「シェアード・ユニバース」とは、とってつけた映画の宣伝のための言葉だと侮っていたが、興行を成功させる戦略的な言葉だった。物語を何度も噛み締めて楽しむためのメディアの仕掛けであり、配信がコロナ禍を経てすっかり普及した2024年のタイミングに、まさに格好の「映画の届け方」だったと言える。

テレビで放送したドラマの映画版がヒットするのは、今では当たり前のように思っているだろうが、実は変遷がある。テレビ局は映画に早くから関わっていたが、壁があった。ところが1998年に『踊る大捜査線 THE MOVIE』が興行収入101.0億円のメガヒットとなり(出典:日本映画製作者連盟・日本映画産業統計)、壁を突き崩した。ドラマを映画化したらとんでもないヒットが生まれたのだ。2作目の『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』は興行収入173.5億円と、いまだに実写の邦画ではこれを超えたものはない。2000年代は「踊る大捜査線」シリーズがスピンオフ作品も含めて公開されるたびにメガヒットとなった。

フジテレビは『海猿』もシリーズ化して製作し、1作目の17.4億円が2作目で71.0億円になり、3作目80.4億円、4作目73.3億円とそれぞれ特大級のヒット、また『HERO』(81.5億円)や『のだめカンタービレ』の前後編(41.0億円、37.2億円)など、10億円を超えればヒットと言われた邦画の興行収入をびっくりするような数字で塗り替えていった。TBSも『ROOKIES-卒業-』(85.5億円)がメガヒット、テレビ朝日は『相棒-劇場版-絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン』(44.4億円)という長い副題で「相棒」を映画化しヒットさせた。人気のテレビドラマを映画化すればメガヒットする方程式が成立した。

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