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建設業の深刻すぎる「人手不足」解消に必要なこと 一括請負方式の生産システムを見直せるか

東洋経済オンライン / 2024年9月22日 7時0分

最近ではPPP(官民連携)プロジェクトとして静岡県の函南町・伊豆の国市の河川公園の受託や、埼玉県鴻巣市・ふじみ野市・和光市・静岡県伊豆市・愛知県豊明市・宮崎県宮崎市・東京都国立市などの公共施設の包括管理の受託も増えている。

JMのビジネスモデルは、物流分野で活発化している共同配送の考え方を先取りしたものと言えるだろう。コンビニ店舗では、建物の保守メンテナンスに加えて、商品やサービスの入れ替えなどで設備や店舗レイアウトの改修工事が発生する。そのたびに工事見積もりを取って施工業者を選定し、全国の店舗でスケジュール通りに工事を実施するのは管理が大変だ。

企業はJMの保守メンテナンスのプラットフォームを共同利用することで、計画的に施設の維持補修を進めやすくなる。JMでは登録している技能労働者を適切に配置することで工事の効率化を実現できる。技能労働者は安定的に仕事が発注されることで安定した賃金が得られる。JMでは、このプラットフォームを最先端のITを活用することで実現、進化させてきた。

これまでもJMと類似したサービスはいくつも登場してきたが、成功した事例は少ない。その理由は、発注者側に「一括請負方式での工事発注は便利で手間がかからない」との意識が抜けず、新しいサービスを育てて上手く活用する戦略が欠けていたからではないかと筆者は考えている。物流分野で新たに導入されるCLOのような役割が「発注者」にも今後は求められるのではないか。

大工不足にどう対応していくのか

建設業では、サービスの共同利用にとってカギを握る標準化の取り組みも遅れている。日本の木造建築では「在来軸組工法」と呼ばれる標準工法が広く普及し、大工の多くが標準工法で育てられてきた。しかし、戦後の住宅不足でプレハブメーカーが続々と誕生し、各社が独自工法を開発。さらに米国の標準工法である「2×4工法」も導入され、工法が乱立する状況になった。

独自工法で住宅を建設するプレハブメーカーでは、積水ハウスが大工不足に対応するため、直接雇用で社員大工を育て始めているほか、旭化成ホームズでもつくば市の研修センターで大工の育成に力を入れるなどの対策を講じている。しかし、どの工法にも対応できる技能労働者を育成するのは、労働者側の負担が重いし、効率的とは言えないだろう。

大和ハウス工業では、住宅事業をテコ入れする柱として戸建て分譲事業の強化を図っているが、同社が得意とする鉄骨工法ではなく、在来軸組工法を採用することで外部の施工能力を活用していく戦略だ。子会社の大和ラスティックを通じて工務店などを協力業者に取り込むのに加え、在来軸組工法で住宅事業を展開する「オープンハウスグループなどに協力を要請した」(取締役常務執行役員 住宅事業本部長・永瀬俊哉氏)。

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