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進化したJR四国の振子特急、2700系「南風」の実力 出力も設備もランクアップした最新の気動車

東洋経済オンライン / 2024年9月24日 7時0分

最初の停車駅の児島から先がJR四国の区間。鷲羽山トンネルを抜けて瀬戸大橋の上に飛び出す。朝の光に潮の流れがさざめき立ち、それこそ目が覚めるように美しい。鉄橋のトラス越しに大小の島、そして航行する船を眺めること約6分で四国へと渡った。

この際、児島着発に前後して筆者はスマホの「しこくスマートえきちゃん」を立ち上げた。これはJR四国が独自開発したスマホアプリであり、無料会員登録をするとウェブ上で近距離乗車券から自由席特急券、おトクなきっぷ、定期券まで買うことができ、チケットレスで乗車できる。

私が購入したのは「スマえき四国フリー」(1万8000円)で、3日間自由に乗降、特急自由席も随意に利用できる(指定席利用は別途特急券が必要。サンライズ瀬戸には乗車できない)。ウェブ販売だからどこでも買えて、四国内の駅で紙券に交換する必要もないから、岡山からダイレクトに入るにも好都合。ただ、他社区間はカバーしていないので、東京―児島間は別途ふつうに往復乗車券を用意しなくてはならず、新幹線特急券や岡山―児島間の自由席特急券を買う手間がいるのは煩わしい。

「しこくスマートえきちゃん」はJR四国の駅や列車内の随所で宣伝されている。座席の背面テーブルにも「JR四国列車運行状況」「土佐くろしお鉄道情報」「四国の観光情報はこちら」などと合わせてQRコードのステッカーが並ぶ。

一方、その下の網ポケットには「特急南風の指定席はネット予約の5489で!」と、案内が差し込んである。小さな所帯のJR四国は、JR西日本のシステムに相乗りしているのだ。主要区間の値段も載っているが、チケットレス特急券は通常の紙切符より少し安く、さらにJR西日本のJ-WESTカード会員だと自由席の価格を下回る。そのようにネット販売に誘導して駅や車内での発券を減らし、省力化につなげてゆく時流の施策が伝わってくる。

番の州高架橋から雄大なカーブを描いて宇多津に到着すると、高松発の「しまんと3号」が渡り線を通って後部に入線。2755+2707のモノクラス2両編成を「南風」の後部に連結した。号車番号は4・5を飛ばして6・7号車である。

丸亀で「あかいアンパンマン列車」編成の「南風2号」とすれ違い、都市の景観を離れて多度津からは単線の土讃線に進む。善通寺に続いて琴平に停車する。

2000系の1.36倍のハイパワーで四国を横断

土讃線はこれより非電化区間となって山間に分け入り、まずは吉野川流域へと讃岐山脈を越える。速度は平坦区間の時速120km台から時速80kmに近い時速70km台まで下がるものの、25パーミル勾配に右へ左へ半径300mの曲線が絶え間ない中を振子を駆使して突進する速度感は、決して遅いと言えたものではない。

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